第8回横浜トリエンナーレ ロゴビジュアル
提供：横浜トリエンナーレ組織委員会

現代アートの祭典「第8回横浜トリエンナーレ」が、2024年3月15日（金）から6月9日（日）まで開催される。アーティスティック・ディレクターに中国・北京を拠点に活動するアーティストのリウ・ディン（劉鼎）と美術史家のキャロル・インホワ・ルー（盧迎華）を迎え、展覧会を中心とした多様なプログラムを展開する。

左からリウ・ディン、キャロル・インホワ・ルー
Photo by OHNO Ryusuke
写真提供：横浜トリエンナーレ組織委員会

同展では、横浜美術館をはじめ、歴史的建造物である旧第一銀行横浜支店およびBankART KAIKOの3会場を舞台に、歴史を感じる横浜の街を歩きながら多彩なアートに触れることができる。

今回のテーマは「野草：いま、ここで生きてる」。小説家の魯迅（ルー・シュン）が中国の激動期に執筆した詩集「野草」（1927年刊行）に由来する。リウとキャロルが「野草」をテーマに取りあげようと考えたのは2021年の終わり、世界がコロナ禍から脱け出し、暗闇から光明が見えはじめた頃である。彼らは個々人の人間性、勇気、再生力、信念、連帯といった想いを込めて、このテーマを考案した。リウとキャロルによると「野草は目立たず、孤独で頼るものが何もない、脆くて無防備な荒野を想起させる。しかし、無秩序で抑えがたく、いつでもひとりで闘う覚悟をもつ生命力の象徴でもある」という。

会場となる旧第一銀行横浜支店は1929年竣工。「BankART KAIKO」がある旧横浜生糸検査所附属生糸絹物専用B号倉庫およびC号倉庫は1926年竣工と魯迅の「野草」刊行と同時代の建造物が選ばれた。

横浜美術館
Photo by Kasagi Yasuyuki

BankART KAIKO
Photo by OHNO Ryusuke

旧第一銀行横浜支店

また、デザインはグラフィックデザイナーの岡﨑真理子が担当。「野草」の精神を表現するべく、タイポグラフィーに使われる文字は岡﨑の発案により、横浜市民や市内の大学生など約200人の協力を得て集めた手書きの文字を取り入れて作成されている。

コロナ禍や戦争、環境破壊や経済格差、フェイクニュースや自己責任論といった難しい課題があふれるなか世界中の現代アーティストの作品をとおして、これまでの私たちの生き方をふり返るとともに、未来に希望を見出せる展覧会を目指していく。