NEWS | プロダクト
2023.05.22 20:00
神奈川・茅ヶ崎市の茅ヶ崎市美術館は、デザイナーおよび地域の工房と共同で制作した、3種類のミュージアム・ギフト「トラベリング ミュージアム」を2023年4月に発売した。
プロジェクトは、コロナ禍において休館を余儀なくされた際に「人の手のひらの上で小さな美術館が立ち上がるような体験を贈ることができないか」という想いからスタートした。ミュージアム・ギフトは「トラベリング=旅」というキーワードから「トラベリングミュージアム」と命名。デザインは、建築家兼デザイナーの齋藤名穂が担当した。
ひとつ目のギフトは、東京・檜原村を拠点に林業を行う東京チェンソーズが手がけた「木のオブジェクト」。茅ヶ崎市美術舘の階段がモチーフになっており、素材に使用されているプラタナスの柔らかな木肌とカーブを描く滑らかな表皮が自然豊かな茅ヶ崎市の周辺環境を想起させる。
ぐり工房(神奈川・寒川町)が制作した、ふたつ目のギフト「ガラスのオブジェクト」は展示室の天窓から差す光など茅ヶ崎市美術館の中で見られるさまざまな光がモチーフ。幾層にも重ねたガラス板の間には、差し込む光の形や美術館の建物の模様を写し取ったフロッタージュのフィルムが挟み込まれている。
湘南七宝燒(神奈川・茅ヶ崎市)による3つ目のギフト「七宝焼のオブジェクト」では、美術館へつづく緑豊かな坂道を軽やかに舞う蝶々を表現。羽の片面には茅ヶ崎の浜辺の砂を振りかけて焼成し、釉薬の薄い部分は、銅が琺瑯と反応することで波打ち際を彷彿とさせる緑青色を実現している。