リノベーションから誕生した、桑沢デザイン研究所の新校舎

東京・渋谷区の専門学校 桑沢デザイン研究所は、新校舎を2023年4月にオープンした。設計を手がけたのは、クリエイティブスタジオmoss.。現校舎からほど近い1999年竣工の建物を全面的にリノベーションし、地上4階・地下1階の鉄筋コンクリート造の校舎が完成した。

道路に面した横に長い形状の建物。Photos by Koji Fujii

元の建物のポストモダンな雰囲気を感じるコンクリートの外観を活かしつつ、内装は数十年先を見据えて今後アップデートできるよう、過度な装飾を抑えた仕上げとなっている。

1階エントランス部分

1階から3階は中央に開放感のあるコモンスペースが設けられた。その両側に教室・イベントスペースなどを配したレイアウトが斬新だ。1階のファサードに接した空間は、エントランスから直接アクセスできる、学校と外をつなぐパブリックでフレキシブルなイベントスペース。

イベントスペース

教室

2階と3階の教室間にあるコモンスペースは、授業外のコミュニケーションの場として使われている。円形テーブルやソファ、ハイチェアなど、さまざまな家具が複数備えられ、階によって家具や照明に違いがあるのも特長のひとつだ。

コモンスペース

4階は面積の半分以上が屋外でデッキ貼りのテラスが広がる。ここにもさまざまな用途に対応した家具が設計された。デッキからは近隣の代々木競技場や緑豊かな代々木公園を望むことができると同時に、屋内外の豊かな植栽で、都心の校舎内でありながら自然を感じることができる。

4Fのテラス

同校がバウハウスのデザイン理念を基に創設されたことに由来して、モダニズムを感じられるスチールやガラス、コンクリートが内装に使用されている。手すりや窓のサッシのディテールにもバウハウスデザインの影響がみられる。

moss.代表の志摩 健は「私の母校でもある桑沢デザイン研究所は、日本で最初のデザイン学校。この校舎が桑沢デザイン研究所の歴史を継承するおおらかな受け皿として、この先も機能していくことに期待したい」と想いを語っている。End