藤本壮介とMame Kurogouchiが共演した、
太宰府天満宮の「仮殿」が完成

福岡・太宰府市の太宰府天満宮は、学問の神として親しまれている菅原道真(845-903)の薨去から1125年という節目の式年大祭に向けて、124年振りとなる重要文化財「御本殿」の大改修を2023年の5月から約3年をかけて行う。

これに合わせて、神事や参拝のために3年間限定で使用される「仮殿」が、このほど完成した。設計を手掛けたのは、建築家の藤本壮介が率いる藤本壮介建築設計事務所

屋根の上には太宰府天満宮の花守たちが境内地で育てた梅が植えられており、季節や天候の変化によって周辺の山々とともに訪れた人々に新しい景色を見せる。

藤本は改修について「太宰府天満宮の持つ長い歴史と伝統を受け止めることから始まり、現状案にたどり着くまでにさまざまな検討を積み重ねていきました。3年という限られた期間ではありますが、道真公のための森のような屋根を通じて飛梅伝説や歴史とつながったり、美しく豊かな自然を感じたり、ここに訪れる多くの人々の記憶に強く残るような、風景になればと思っています」と語っている。

御帳

几帳

また、仮殿のために仕立てられた「御帳(みとばり)」や「几帳(きちょう)」は、ファッションブランドのMame Kurogouchiの黒河内真衣子が担当。これらには天満宮を象徴する梅の木の柄が全面にあしらわれた。

黒河内は「図案や素材には天満宮を象徴する梅のモチーフのほかにも西高辻󠄀家の記憶を込めています。天満宮全体を包む生命の景色を描きたいと思い、筆を走らせました。仮殿とともに、ここで過ごす各々の時間が楽しいものになることを心から願っています」とメッセージを寄せている。End