Photos by ISSEY MIYAKE INC.

メタマテリアルの設計技術を開発する東京大学発のスタートアップ Nature Architectsは、A-POC ABLE ISSEY MIYAKEと共同で、熱により自在に変形する布「Steam Stretch」の設計製造技術の開発を進めている。

「Steam Stretch」は、布に熱を加えることで特定の糸が縮み、伸縮性のあるファブリックを生み出すことができるイッセイ ミヤケ独自の製造技術である。今回の共同開発では、従来のように平面の布を縫い合わせて服をつくるのではなく、熱を加えて自動で立体化するファブリックを目指している。

布に熱を加えることで半球やジャケットの形状などあらゆる立体形状に変形させることができる。

Nature Architectsは、理想の形に変形させるために必要な布の収縮パターンを計算し、複雑なプリーツ形状の展開図を自動生成するアルゴリズムを開発。設計プロセスを自動化・効率化することにより、最小限の縫製で立体形状のジャケットを完成させた。

Nature Architectsによると「DFM（Direct Functional Modeling）」と呼ばれるこの技術は、アパレルに限らず家具や照明など、さまざまなプロダクトに応用可能であると言う。今後は、モビリティをはじめ建設、航空宇宙などの各業界に向けた設計事業にも展開する見込みだ。

同プロジェクトを家具や照明に応用したプロトタイプ。

DFMを車載部材や建築部材などに適応すれば、革新的な衝撃吸収部材となるだけでなく、部材の組み立て工程の大幅な削減や軽量化が可能。プラスチックやゴム、金属といった材料を対象として、変形・音響・振動・熱などに対応したさまざまな機能を備えた部材や製品を設計することで機能向上やコスト削減の実現も目指すとしている。