Photos by Matej Hakár

チェコ東部の町チェスキー・チェシーンの水辺に、スロバキア・ブラチスラバに拠点を置く建築オフィス Grau Architectsによるパビリオン「Tea House」が完成した。

このパビリオンは2022年8月にデザインを学ぶ学生向けの国際的なワークショップ「Mood for Wood」の一環として、建てられた。建物の大きさは、幅3m × 奥行き3mの正方形で、高さは4mである。透かしのように明るい光が差し込む構造は、日本の伝統的な建築をヒントにしながら、Grau Architectsが現代風にアレンジ。

茶室のにじり口をイメージした入口は、身をかがめないと入ることができない。入口を通り抜けると、大きく開いた窓からは、貯水池の雄大な景色が目に飛び込んでくる。

上部には、日差しを遮るため、障子のようにアグロテキスタイル（主に農業で雨風除けに使用される素材）を張った。梁や床の素材にはスプルース材（神棚などにも使用される木材）を使用。周りを合板で囲うことで、中にいる人のプライバシーを確保するとともに、日常から隔離された解放感をもたらしてくれる。

質素で禁欲的な日本人の精神性をイメージして、室内には細長いローテーブルのみを配置。水辺を眺めながら、お茶を机の上に置いたり、その上に腰をかけることもできる。

訪れた人は日常生活の喧騒を離れ、そこにしばし佇みながら、池の景色や音、水面の動きを楽しんだり、木々の上に広がる青空を眺めたりと、穏やかな自然へと誘われるだろう。