イタリアの「肌色」はピンクだけ?
人の認識を変える「COLOR CARNE」プロジェクト

日本では長らく、色鉛筆やクレヨンの薄いオレンジ色のことを「肌色」と呼んできた。だが、人の肌の色は多様であるという問題意識から、近年ではこの呼称は使われなくなっている。

もちろん、こうした問題意識は日本だけのものではない。イタリアでは、「Color Carne(肌色)」とはどんな色かを考えるプロジェクトが進められている。イタリア語で「carne」とは「肉」のことで、イタリア語の辞書を引けば、「Color Carne」は「人の肉の色に似た薄いピンク色」と書かれているそうだ。

つまり、この国で肌色はピンクなのだ。それは当然、白人の肌を基準としてイメージされたものである。そこで「COLOR CARNE」プロジェクトでは、それは単一の色ではないと、イタリア国内外で人々の認識を変える取り組みを行っているという。

たとえばSNS上で、用意されたキャンペーンカードを共有したり、「#colorcarne」をつけて「肌色をピンクからすべての人類の色に変えよう。(Let’s change the color of Color Carne (flesh-colored), from pink to all the colors of humanity.)」のメッセージを添えたりするのだ。

こうした活動を受けて、イタリアの5つの辞書が「color carne」の定義を変更。最初に書き換えた辞書「Garzanti」では、この言葉は、「人間の肌の色を白のみと想定しており、人間の肌としてありうるすべての色や色調を考慮していないので、差別的である」との注意を促す注釈を挿入した。

同プロジェクトでは、こうした辞書の再定義に必ずしも満足しているわけではないが、ひとつのきっかけとして、変化は実現可能だとしている。また、グーグルで「color carne」を検索すると、さまざまな肌の色合いが候補として挙がるようになったそうだ。End