デザイナー 辰野しずかが初めての書籍を発売
Karimoku Commons Tokyoで出版記念展示も開催

デザイナー 辰野しずかによる初めての書籍「a moment in time -ume-」が2022年12月16日(金)に発売される。

ものづくりの背景に見えるポジティブなエネルギーを見つけ、それらを膨らませて可視化してゆく。そんな視点から、家具、生活用品、ファッション小物などのプロダクトデザインを中心に活動する辰野しずか。同書は、独立10年目にして初めて自身のオリジナル作品を制作し、開催された展覧会をきっかけに編纂した。そして、展覧会の作品として制作されたのが、本書の主題である「梅の飴」だ。

この「梅の飴」は、会場となった東京・代々木上原の「などや」の庭に存在した、樹齢60年ほどの梅の木からインスパイアされたそうで、同氏が近年興味をもっていた草木染めの技法で抽出された梅の木の色を、砂糖と水を煮詰めて閉じ込めたものである。

同氏がこれまでのクライアントワークでしばしば扱ってきたガラスをはじめとする透明な素材のプロダクトさながら、そのものが生まれた自然背景を彷彿とさせ、凛とした佇まいを湛えるアートオブジェに仕上がった。

しかし、この「飴」はガラスや樹脂のような安定性は持たず、環境に左右されながら溶けて、結晶化し、形を変え、いずれ自然に土に還る。同書は「はかなくも作品が消えてしまった後にも、人の心に、記憶の片隅に残るもの。」というテーマにより生み出された同作品の、構想から制作に至るまでの記録となっている。

辰野は出版によせて、「2021年、数ヶ月後にお別れする運命である梅の木との出会いから、草木染めで染めた飴の作品が生まれました。植物が刻一刻と異なる色に変化するように、飴も溶けたり結晶化したりと同じ姿をとどめることはありません。この飴の作品が持つ『コントロールすることができないうつろい』は、同じ事象にとどまり続けることのない私たちの日常と共通しており、どちらも今、『その瞬間』を感じられる体験だと考えられます。この本は梅の飴作品の『その瞬間』を、記録に残すために作りました」とコメントしている。

なお、同書の発売に合わせ、exhibition「a moment in time -trees-」を2022年12月17日(土)から2023年2月5日(日)まで、東京、西麻布にあるKarimoku Commons Tokyo 1F のギャラリースペースにおいて開催する予定だ。

a moment in time -ume-

著者
辰野しずか
発行日
2022年12月16日(金)
定価
7,920円(税込)
サイズ
w230 × h300 仕様:継背上製本(ハードカバー)
ページ数
112ページ  ※表紙2バージョン
詳細
https://www.shizukatatsuno.com/archives/3233

exhibition「a moment in time -trees-」

会期
2022年12月17日(土)~2023年2月5日(日)12:00~18:00
日曜定休 ※12月18日、12月25日、2月5日は開場
※12月27日~1月8日は休業
会場
Karimoku Commons Tokyo 1F ギャラリースペース
東京都港区西麻布2 丁目22-5
詳細
https://commons.karimoku.com/