AIにスプーンのデザインを任せたらどうなる?
クリエイティブスタジオ oioによる「Spawns」

私たちがふだん使うスプーンも、よく見ればそれぞれデザインが違っている。これらの多種多様なスプーンの画像をAIに学習させて、新しいスプーンを作ろうというプロジェクトが公開された。

英ロンドンのクリエイティブカンパニー「oio」がイタリアのジュエリーブランド giosampietroと共同で手がけたのが、スプーンコレクション「Spawns」である。たんなる銀のスプーンのようにも見えるが、「Artisanal Intelligence」と呼ばれる新しいプロセスで設計されているという。

画像から新しいスプーンのデザインが生成できるようになるまで学習させ、人間のデザイナーは、そのなかから新しい形状や機能性をもたらす興味深いイメージを選択。これをgiosampietroが洗練させることによって、アルゴリズムの出力から量産可能なデザインを実現させた。

現在は100個限定で3つのモデルを販売。それぞれ取っ手の部分がユニークな見た目になっており、特徴的な感触があって、まったく新しい使い心地が楽しめるそうだ。

ちなみにプロジェクトのきっかけは、建築家のエルネスト・ネイサン・ロジャース(Ernesto Nathan Rogers)が1952年に書いたエッセイ「スプーンから都市まで(From the spoon to the city)」にあるそうで、スプーンのような小さなものから複雑な都市まで、デザイナーはデザインを通して人類の問題を解決すべきだ、という大きな建築ビジョンを提起した。

一方、oioは、人間がデザインプロセスの中心にいるのではなく、さまざまなインテリジェンスと協力して複雑な課題を解決するという、ロジャースとは違う現実を見据えている。「Spawns」コレクションはまさに私たちの時代のスプーンなのだ。End