島国の文化をカラフルなファサードで表現
カーボベルデの国立芸術工芸デザインセンター

▲credit:CNAD

大西洋に浮かぶ島国カーボベルデにはかつて、国立工芸センター(National Crafts Centre、CNA)と呼ばれる施設があったという。1975年の独立後に同国で最初に建てられた文化機関で、カーボベルデの職人技のネットワークと視覚的・美的アイデンティティの構築を担ったそうだ。

現在、この施設を受け継ぐのは、2022年にオープンした国立芸術工芸デザインセンター(National Centre for Art, Crafts and Design、CNAD)である。CNAのヴィジョンを継承しつつ、つねに未来を見据えて、その先を目指すという「大胆さ」をもって活動している。

▲credit:CNAD

▲credit:CNAD

CNADは2019年、築100年の建築「Casa Senador Vera Cruz」の修復と新しい文化施設の建設を開始。地元の建築オフィス Ramos Castellano Arquitectosがそのデザインを手がけた。

ミンデロの街を見下ろす新しい建築は、色とりどりの金属製のファサードが印象的である。カラフルなドラムヘッドが表現しているのは、この島国の社会的・文化的・象徴的な文脈であり、世界中に広がるカーボベルデのディアスポラの品々と物語が詰め込まれている。

▲credit:CNAD

▲credit:CNAD

この建築がもたらす可塑性と詩情はさらに先を見つめる。多彩なカラーパレットには、同国のミュージシャン・作曲家のバスコ・マルティンス(Vasco Martins)が手がけた楽譜がコード化されているそうだ。

▲credit:CNAD

そのほかの建築的な要素は残されており、本体や色合い、テクスチャを提供。CNADが掲げる広がりをもつ普遍的な思想にも合致するものとなる。また、中央にはテラスがあり、古いものと新しいもの、「Casa Senador Vera Cruz」と新しい建築プロジェクトのあいだの対話を促している。End

▲credit:CNAD