「硬さ」と「柔らかさ」をあわせもつ!?
米大学が開発するプラスチックのような新素材

▲Courtesy of The University of Texas at Austin

プラスチックは私たちにとってなじみのあるものだが、米テキサス大学オースティン校ではプラスチックのような新しい素材を開発しているという。柔らかくて伸縮性があるところと硬くて曲げにくいところがある、そんな素材だそうだ。

研究チームは樹木から貝までさまざまな生物をヒントに、硬さと柔らさをあわせもつ素材の開発に着手。光と触媒だけを使用して、同じタイプの分子でも硬度や弾性などの特性を変えることに成功した。

これにより、素材に天然ゴムの10倍の耐久性をもたせたり、あるいはより柔軟性が求められるウェアラブルデバイスやソフトロボットのアクチュエーターに使えたりできるようになるとしている。

▲Courtesy of The University of Texas at Austin

生物はしばしば強度や柔軟性などを自在に組み合わせており、従来の研究では合成材料を使って皮膚や筋肉などの生体組織の特性を再現しようとしてきた。しかし、これを模倣しようとさまざまな合成素材を組み合わせると、材料どうしの接合部分で離れたり裂けたりしてしまうのである。

そこで研究チームはモノマーからスタート。小さな分子に類似する別の分子を結合させ、より大きな構造であるポリマーを形成させた。これは一般的なプラスチックで見られるようなポリマーに似たものである。

そこに触媒を加え、可視光を照射することで、従来の合成ゴムと同様の半結晶性ポリマーを生成。光が当たった部分はより硬くて曲がらず、光が当たっていない部分は柔らかく伸縮性のある特性が生まれた。

単一の材料でできているので、多くの複合材料よりも強度があり、伸ばすことができた。モノマーと触媒は市販のもので、光源の青色LEDも安価なものを使用。反応には1時間もかからず、有害廃棄物の使用を最小限に抑えることができるとしている。End