イベントが生まれる「体験のデザイン」を目指した
PARTY × 日建設計 × SOLSOによるユーザベース新本社

ソーシャル経済メディアなどを提供するユーザベースは2022年7月、東京・丸の内エリアに本社を移転した。この新本社のプロデュース・デザイン・設計を、PARTY日建設計SOLSOの3社で手がけた。

▲公園の広場のようにチームで集まってプチ合宿。リラックスした状態でブレストをおこなう。

▲左側の縁石をイメージして作ったストリートベンチはおよそ100メートルの長さ。
縁石に座ってコーヒーを飲んだり、お弁当を食べながら会話が生まれる体験デザイン。

今回は、リモートワークが本格化するなか、オフィスの存在意義を改めてユーザベースとともに考え直し、大小さまざまなイベントが生まれる「体験のデザイン」を目指した。100人規模のイベントや番組収録、5人~10人規模の打ち合わせ、ドラマ番組のロケ地、偶然に出会って生まれる立ち話、一緒にコーヒーを飲むなど、リモートワークでは生まれないリアルならではの体験ができるという。

オフィスは、大きく分けて「共創が起こる場所」「熱を生む場所」「象徴となる場所」という3つのコアバリューをもとに設計。働き方の未来と経済合理性を考えた「可動産」も取り入れながら、ポストコロナ時代におけるオフィスの体験デザインをした。

オフィス内に点在してレイアウトされる電話ボックス型のパーソナルボックスや、バス停などのオリジナル家具は、PARTYが企画・デザイン・基本設計をし、コクヨが詳細設計・制作を行った。

▲広場のひな壇ではセミナーやイベントなどをおこなう。

▲「電話ボックス」をモチーフにオリジナルデザインしたビデオ会議ができるパーソナルボックス。

▲電話ボックスの内部の吸音材で反響や音漏れを防止。

さらに、アンビエントなLEDサイネージをデザイン。実際の建物内の天井に配置されているダクトをモチーフにしており、実物のダクトと同サイズの円筒形や四角柱をしており、建築と共存するLEDサイネージとなっている。

▲ダクトに擬態して、建物に溶け込む様子。

このLEDサイネージには、ユーザベースが提供するSPEEDAやNewsPicksの経済情報をリアルタイムに毎日更新。ダクトの中を水とともに流れ、日本経済の中心地のひとつである丸の内という都市のなかを駆け巡るさまをイメージしている。

また、ダクトに擬態するために、1年間の太陽光の入り方をシミュレーション。照度センサーを設置し、室内空間の照明と連動して、LEDサイネージの映像に影を付加している。階段などの色の映り込みも反映し、照度コントロールすることで、消費電力も抑え、環境への配慮も行っている。End

▲都市のビルをイメージしたMTGルーム。テーブルはコクヨファニチャーをカスタマイズ。

▲丸の内の赤レンガ建築の歴史に敬意を込めて、赤レンガの廃材を混ぜて作ったオリジナルの赤茶の左官壁。

▲SOLSOと共同開発したプランターは、植栽を配置するだけでなく、天板をカスタマイズして、スタンディングテーブルとしても利用できる。

▲電動スクーターでオフィス内のストリートを移動。