NEWS | プロダクト
2022.09.28 11:30
建築家のPanos SakkasとFoteini Setakiによる、オランダ・ロッテルダムのデザインスタジオ The New Rawは、ロボット技術と職人技を通じて、プラスチック廃棄物に新しい命を吹き込むデザイン活動を行っている。
同スタジオが手がけたプロジェクトのひとつが、地域の学校に通う子どもたちとコラボレーションした、欧州文化首都2023のためのサスティナブルな遊具コレクション「GLYPH」である。
現在進めているリサーチイニシアチブ「Print Your City」の一環だそうで、プラスチック廃棄物でロボットによる 3Dプリントを実施。地元の5歳から14歳までの子ども700人以上が参加し、都市空間をリデザインながら地域で構築する方法を探るプロジェクトだという。
子どもたちは図面を作成するなど、デザインプロセスにも深くコミット。図面はスキャンされ、デジタル化されて、遊具ができあがった。ちなみにコレクションの名前は、ギリシャ語で、古代寺院のメッセージやシンボルの装飾的な彫刻を意味する「γλυφή」に由来するそうだ。
ラボでは240kgものプラスチックがリサイクルされ、自立型のベンチ8台が誕生。ひとつでも複数でも使えるそうで、その湾曲した形状は、古代都市の遺跡で見つかった建築用ブロックの形を参考にしており、ベンチの揺れを楽しむことができる。軽量で持ち運びができる、モノリシックでカラフルなデザインで、ギリシャの工業都市エレフシナの空き地や、公共スペースのない環境を活性化する遊具となる。
使用されたプラスチックは、ボトルキャップによく使われるRPPおよびRPEを採用。分別や洗浄、細断を行い、顔料を混ぜて溶融した。ひとつの作品のプリントにかかる時間は5~7時間だった。
同コレクションは、欧州文化首都2023の期間中にさまざまな場所に設置され、2024年以降はラボに参加した学校に寄贈される予定となっている。