「非食用植物材料」から簡単に作れる
新しいプラスチックをスイスの大学が開発

▲Credit: Alain Herzog (EPFL)

気候変動問題に対しては、化石燃料の使用を抑え、環境へのプラスチックの蓄積をやめることが求められている。こうした課題のために、「リグノセルロース系バイオマス」と呼ばれる非食用植物を原料とした分解可能またはリサイクル可能なポリマーの開発が注目を集めているそうだ。

そこで、スイス連邦工科大学ローザンヌ校では、非食用植物から簡単に作れる、PETと同様のプラスチックを開発しているという。丈夫で耐熱性に優れ、酸素などのガスを遮断するので、食品包装として使えるそうで、ケミカルリサイクルや、環境中の無害な糖への分解にも適しているとしている。

▲Credit: Lorenz Manker

▲Credit:Maxime Hedou

従来のプラスチックがよく使われるのは、低コスト、熱安定性、機械的強度、加工性、互換性があるからで、新しいプラスチックはこうした特性に対抗することが求められる。

同大学の研究チームは、「実際、木材や農業廃棄物などの非食用植物材料に手頃な化学薬品を混ぜ合わせるだけで、プラスチックの原形をワンステップで製造できます」と語る。「プラスチックの分子構造内で糖の構造を保つことで、従来のものの代替物よりも製造ははるかに簡単になります」。

また、「簡単なこの技術を使用することで、農業廃棄物の重量の最大 25%、もしくは精製された糖の95% をプラスチックに変換することができます」と解説する。

▲筆頭筆者のLorenz Manker Credit: Stefania Bertella

このプラスチックには幅広い特性があり、パッケージやテキスタイルから医療や電子機器に至るまで、さまざまな用途に使用できる可能性があるそうで、研究チームはこれまでに、包装用フィルム、衣服やテキスタイル向けに紡いだ繊維、3Dプリント用のフィラメントを製造した実績をもっている。End