複層的な「眼」で東北を再検証する
展覧会「東北へのまなざし 1930-1945」が開催

▲勝平得之《秋田風俗人形》昭和初期、秋田市立赤れんが郷土館

東京ステーションギャラリーは、展覧会「東北へのまなざし 1930-1945」を、 2022年7月23日(土)から9月25日(日)まで開催する。

1930年代から1945年にかけ、仙台で工芸指導をおこなった建築家のブルーノ・タウト、東北を「民藝の宝庫」と呼んだ柳宗悦、山形の自然素材を調査したシャルロット・ペリアンなど、先端的な意識をもった人々が相次いで東北地方を訪れ、この地の生活や文化に注目した。

▲《こけし(木地山系)》1925-41年頃、原郷のこけし群 西田記念館

▲芹沢銈介《日本民藝地図(現在之日本民藝)》部分、1941年、日本民藝館

また、青森で「考現学」を実践した今和次郎と今純三や、農村漁村の情景を記録した福島の画家・吉井忠といった東北出身者たちも、故郷の人々と暮らしを見つめ直し、戦中期の貴重な記録を残している。

▲ブルーノ・タウト(デザイン)、左:《卵殻螺鈿丸形パウダーケース》、右:《卵殻螺鈿角形シガレットケース》いずれも1934年、群馬県立歴史博物館

▲ブルーノ・タウト(原型指導)《椅子(規範原型 タイプC)》1933年原型指導、仙台市博物館

同展では、タウトが仙台や高崎でデザインした工芸品や、日記、アルバム、原稿などの遺品を展示したり、柳が東北各地で収集した蓑、刺子、陶芸などの品々や、同人の芹沢銈介や棟方志功の作品を展示したりと、彼らの東北にまつわる品々を紹介する。

▲芹沢銈介『手仕事の日本』挿絵原画より《けら(陸奥)》1945年、日本民藝館

東北に向けられた複層的な「眼」を通して、当時、後進的な周縁とみなされてきた東北地方が、じつは豊かな文化の揺籃であり、そこに生きる人々の営為が現在と地続きであることを知ることができるだろう。End

東北へのまなざし 1930-1945

会期
2022年7月23日(土)~9月25日(日)
※会期中一部展示替えがあり
前期 7月23日(土)~8月21日(日)、後期 8月23日(火)~9月25日(日)
時間
10:00~18:00(金曜日~20:00)※入館は閉館30分前まで
休館日
月曜日(ただし8月15日、9月19日は開館)
会場
東京ステーションギャラリー
詳細
https://www.ejrcf.or.jp/gallery/