NEWS | サウンド
2022.07.22 12:00
今回で第23回目を迎えたミラノトリエンナーレにおいて、サウンドアーティストのスズキユウリが新プロジェクト「Sound of the Earth: Chapter 3」を発表した。直径4mもある黒い球体を使ったサウンドインスタレーションで、オフライン会場では2022年12月11日(日)まで公開、公式サイトでも楽しむことができる。
このアートワークは展覧会「Unknown Unknowns」のためのもの。さまざまな地域を接続し、目に見える陸地や国境のない集合的なサウンドスケープを形成することで、国外の文化を体験することができるようになっている。互いにサウンドに耳を傾けることで誰もが共通の基盤やつながりをもつことができる、そんなインスタレーションである。
また、公式サイトではこの球体がウェブ上に表示されており、ユーザーが自宅から世界中の音を送ったり聞いたりすることができる。プロジェクトでは機械学習を使用しており、ユーザーが送ったサウンドをもっとも近い「音の隣人」に結びつけるそうで、物理的な境界を超えて変わりゆくサウンドスケープを旅することができるという。
2005年にスタートした「The Sound of the Earth」シリーズは、従来の地図を使わずに、収集した音によって旅の体験を共有する、球形のレコードによるプロジェクト。針が溝を移動することで、さまざまな国のサウンドが楽しめる。
米ダラス美術館のために制作された2019年の「Sound of the Earth:Chapter 2」は、インタラクティブな大型アートワークで、2020年には「Sound of the Earth:The Pandemic Chapter」も発表。後者には救急車のサイレンや医療関係者へ拍手なども含まれている。
そして、もっとも野心的だという本作は、アフターコロナ時代に向けて、オンラインとオフラインで世界のサウンドポートレートを制作。コロナ後に観客がアートワークを体験する新しい方法を表現しており、クリエイティブなプロセスに参加することで、観客とアーティストの境界線が曖昧になり、だれもがクリエーターになれるのだ。