カンボジア人ディアスポラの記憶をたどる
キム・ハクの写真展「生きる IV」

▲キム・ハク《学習帳と刺繍レースのブラウス(サム・ソン/1956 年カンポット⽣まれ、神奈川県在住)》
「⽣きる」プロジェクトより

ニュージーランドに拠点を置くRei Foundation Limitedは、カンボジアのアーティスト、キム・ハク(Kim Hak)による写真展「生きる IV」を、2022年8⽉19⽇(⾦)から8月28⽇(⽇)まで東京・南青山のスパイラルガーデンで開催する。

1970年代のカンボジアでは、クメール・ルージュ政権下の圧政と虐殺により、大勢のカンボジア人が戦争を逃れ、わずかな持ち物しか持ち出せないまま、国外への脱出を余儀なくされた。

1981年生まれのキム・ハクは、自分の親世代に起きたこの歴史と個人の記憶に関心を抱き、生き延びた人びとを訪ね、彼らの持ち物とその物語を記録するプロジェクト「生きる」(Alive)を2014年にスタート。

そして、キム・ハクは神奈川県を中心にカンボジアにルーツを持つ人々と出会い、「生きる」の第4章となる「生きる IV」を制作。同展では、1970年代のカンボジア国内の混乱によって国に戻れなくなった留学生や、1980年代に日本へ渡った難民を含む、12組のカンボジアの家族の肖像や持ち物などを撮影した40点を含め、同氏の作品を日本で初めて紹介する。

▲キム・ハク《300 本の昔の歌のカセットテープ(ソック・ポーン/1965 年バッタンバン⽣まれ、神奈川県在住)》
「⽣きる」プロジェクトより

▲キム・ハク《14K ローズゴールドのベルト、サンポット・ホール、⾦のダングル・ブレスレット(諏訪井セタリン[ペン・セタリン]/1954 年プノンペン⽣まれ、東京都在住)》
「⽣きる」プロジェクトより

▲キム・ハク《思い出の本(楠⽊⽴成[ロス・リアセイ]/1960 年プノンペン⽣まれ、神奈川県在住)》
「⽣きる」プロジェクトより

▲キム・ハク《本と難⺠キャンプ(楠⽊⽴成[ロス・リアセイ]/1960 年プノンペン⽣まれ、神奈川県在住)》
「⽣きる」プロジェクトより

▲キム・ハク《幼少時の⽕傷の痕とトウガラシ(萩原カンナ[チアンセン・テアッケナー]/1970 年プノンペン⽣まれ、神奈川県在住)》
「⽣きる」プロジェクトより

キム・ハクは、「写真やモノはすべて、深い意味をもっています。それらは、歴史の中の過去の時間の証拠です。戦争は犠牲者を殺すことは出来ても、生き残った人々の記憶を殺すことはできないのです。記憶は、現代に生きる人々の意識の中で生き続け、知られ、共有されるべきであり、次の世代のために遺産を保存する必要があるのです」と語っている。End

▲キム・ハク credit:Sonny Thakur

キム・ハク「生きる Ⅳ」

会期
2022年8⽉19⽇(⾦)~8月28⽇(⽇)
※会期中無休・入場無料
開館時間
11:00~20:00
会場
スパイラルガーデン(東京都港区南⻘⼭5-6-23 スパイラル1F)
詳細
https://www.spiral.co.jp/topics/spiral-garden/kim-hak_alive_iv