NEWS | サイエンス
2022.07.07 13:58
プラチナは、触媒としてさまざまな場面で使われるが、とても高価なので工業規模で広く使用しづらいとされる。プラチナを触媒として運用するには、継続して高いエネルギーコストがかかるという。
また、この元素の融点は約1700℃と極めて高く、工業向けに固体で使おうとすると、炭素ベースの触媒系ではおよそ10%のプラチナが必要となるそうだ。そこで、豪ニューサウスウェールズ大学とロイヤルメルボルン工科大学の研究チームはこのほど、新しいプラチナを開発したことを発表した。
今回、研究チームはプラチナと融点が約29.8°Cの液体ガリウムを化合。これにより、プラチナを常温で融解させることができるとしている。
この方法では、プラチナをガリウムと化合して触媒を構築する初期段階においてのみ、約300°Cで1~2時間の処理が求められるが、それでも工業規模としては短時間で比較的低温な処理となる。
さらに、有効な触媒を作成するためには、ガリウム1に対してプラチナはわずか0.0001未満しか必要とされない。そして、この液体ベースの触媒系は、約10%の高価なプラチナが必要だった固体ベースの触媒系よりも、1000倍以上も効率的であることを確認した。
そのほかにも、このプラチナは、液体ベースの触媒なので、固体ベースの触媒によって詰まりが生じ、機能しなくなるということもなく、信頼性も向上。噴水のある水システムのように常に循環するので、長期間にわたってその効果をキープしてくれる。
研究チームは、必要なプラチナの量はわずかであり、大量消費して枯渇させることもなく、さらにはCO2の削減、肥料の生産におけるアンモニア合成、グリーン燃料電池の製造など、化学産業において持続可能なソリューションを提供する可能性があると語っている。