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2022.06.30 16:00
オランダ・アルメーレは、干拓事業によって生まれ、1976年に最初の住宅が完成した比較的新しい街である。それ以降、人口は約22万人となり、国内で5番目に大きな都市になったそうだ。しかし、これに見合うような目立った美術館はまだないという。
そこでアルメーレでは、この数年間でいくつかのアイデアを試すことになり、その第1弾となる没入型アートのパビリオン「M.」が登場した。
Alessandra CoviniとGiovanni Bellottiによる建築ユニットStudio Ossidianaが手がけたこの美術館は、水上に浮かぶパビリオンで、海を干拓して登場したアルメーレの歴史を想起させるデザインを採用。現在開催中のアルメーレ国際園芸博覧会の会場内にあり、それ自体がひとつのアート作品となっている。
Studio Ossidianaは、海を埋め立ててできたフレヴォラント州と、パビリオンが置かれたウィアーウォーター湖をイメージしたそうで、「港」「ステージ」「展望台」という3つの円形でできている。
屋外プログラムを行う「港」は水に浮かぶ環状の遊歩道で、同州の土壌から見つかった貝殻や粘土、木炭を使ったテラゾでできている。島になった「ステージ」にはテラスがあり、「展望台」には2つの展示スペースがある。円筒形のファサード軽量のポリカーボネート製で、そこには水と緑、来場者のシルエットが映し出される。
第1弾となる展示「NaturAlly:Wild Futures」では、5人の新進アーティストが未来の自然のビジョンを提案。木々の間や、水中の世界を模したピンクのジオラマを歩いたり、鳥の巣作りを行う機械を見たり、屋外のテラスでは太古のスープの現代版を紹介しているそうだ。