依然としてオリンピック種目にはなっていないが、筆者が約半世紀前の小学5年生の頃から愛好してきたスポーツがある。それが、一般にはフリスビーとして知られる競技だ。実際には、フリスビーは1メーカーの商標であり、正式なジャンル名としてはフライングディスク、またはスポーツディスクと呼ばれている。個人的にも、北関東大会における部門優勝や、横須賀基地での米兵チームとの対戦なども経験した思い出深いスポーツである。
今では国内でも同好会やクラブを擁する大学などがあり、球技大会ならぬ盤技大会とでも呼ぶべきイベントも開催される。例えば、スローとキャッチの技を競う体操競技のようなフリースタイルや、ドッジボールに似たガッツ、アメリカンフットボール的なアルティメット、そして、その名もディスクゴルフといった競技がポピュラーだ。
基本的に放物線を描いて飛ぶボールとは異なり、浮力を生じて上下左右への複雑な軌跡をコントロールできることがスポーツディスクの魅力だが、米国カリフォルニアを拠点にするトシーはさらにボールにはない革新的な特徴を自社のディスク製品に組み込むことに成功した。それは、高輝度LEDや加速度センサー、モデルに応じてGPS機能などの内蔵で実現したインテリジェント化だ。これにより、夜間の視認性を高めて競技ができようにしたり、アプリによって飛行軌跡を診断し、飛距離や正確度を向上させるアドバイスを行ったり、見失っても場所を特定できる仕組みを盛り込むことが可能となった。
また、最新作の「フライングデュオ」(120ドル)は、360個のLEDと3軸の加速度センサーを内蔵し、輝度やキャッチ後の点灯時間を6段階に切り替えられる「フライングディスク」と、専用の手動ランチャーで飛ばすと最大25m先から弧を描いて手元に戻ってくる特殊な空力特性を実現した「ブーメラン」をワンセットにしたもので、両者を入れ子にして持ち運べるようになっている。
こうした製品によって、スポーツディスクのまさにスポーツとしての側面が、より多くの人々に認知されていくことに期待している。