写真家の三部正博と「紙と紙にまつわること」をテーマに店・デザイン・印刷のディレクションなどを行うパピエラボは、展示「PRINT MATTERS」を東京都新宿区のBaBaBaにて2022年5月17日（火）から5月31日（火）まで開催する。

両者は、三部が近年撮りためているランドスケープの写真を素材として、パピエラボが印刷物をデザイン・製作するプロジェクトに数年にわたり組んでいる。同展では、毎年ニューイヤーカードとして継続しているこの共作を発展させて、活版印刷・リソグラフ印刷・シルクスクリーン印刷による印刷物10点と、印刷物の素材となった写真を含むクロモジェニックプリント10点を展示販売する。

三部が日本国内で撮影されるランドスケープの連作を通してとらえようとするのは、ありきたりな風景に潜む人間と自然の曖昧な境界の生々しさだという。

こうした自然の中に垣間見る人為の跡や去った人間たちの残像など、僅かな違和感を手掛かりに、両者の視点で連作をすべて見通し、像として写っているものと写っていないものの均衡を見極めながら、各印刷技術の特徴を踏まえて適した写真を厳選、印刷物を製作したそうだ。

両者がこのプロジェクトで目指すのは、印刷のプロセスを経ることによって、写真の見え方や在り様が変わる可能性、あるいは写真を素材にすることで印刷技術の潜在力を引き出せる可能性である。同展では、お互いの立場から考察したその可能性を体感することができるだろう。