NEWS | 建築
2022.04.08 11:30
2022年3月から開催されているクラフトマンシップの展示会 Harewood Biennialでは、イギリス・ロンドンを拠点にする家具デザイナーのセバスチャン・コックス(Sebastian Cox)がツリーハウス「Silvascope」を公開した。
今回のビエンナーレでは、手仕事が「ラディカルな行為」であることをテーマとして、今日の暮らしと社会における差し迫った危機に対応し、環境や社会に対して責任ある方法で生活を営む未来を考えるのだという。
コックスにとってラディカルな行為とは「木を切る」こと。「Silvascope」は、ビエンナーレの会場である英ウェストヨークシャーの邸宅「ヘアウッド・ハウス(Harewood House)」の周囲に広がる森に建てられた構造物で、同地で伐採した木材を使用している。
それはまさに「巣のようなスペース」であり、そこで森を管理しながら、その移り変わりを観察することができる。もちろん、ただ木々を伐採するだけでなく、そこにある雑木林や新たに生まれてくる植物を称えることも目指している。
実際、私たちはかつてないスピードで植樹を行っており、イギリスの森林は現在、14世紀と同程度にまで回復しているという。にもかかわらず、森林の生物多様性は減少しているそうだ。では、私たちはどうすれば森林の野生生物を救うことができるだろうか。おそらく、それはただ木を植えればよいというのではなく、森林を適切に管理しなければならないのだ。
たとえば、背の高い木々とほどよい落ち葉があって、雑木林や下草がなくなければ、私たちにとっては歩きやすい。しかしこうした森は、多くの野生生物には好ましくない。木を切り、森の地面に光が差し込むことで、植物や昆虫、哺乳類、鳥などが繁殖しやすくなるのである。
「Silvascope」は2022年7月14日(木)まで現在一般公開されている。今後数十年にわたって森林がどのようになるべきか、私たちは自然を保護するために展望台から観察しなければならない。