2×4材をスラブに使用した
建築家 Tsz Yan Ngのパビリオン「SPLAM」

2021年に開催された米シカゴ建築ビエンナーレ2021において、アーティスト・建築家のTsz Yan Ngがパビリオン「SPLAM」を公開した。この施設は、展示後もシカゴのサウスショア公立高校のフレキシブルな屋外教室として使用されている。

「SPLAM」という名称は「SPatial-LAMinated Timber(SLT)」を略したもの。従来の2X4の構造を再考するプロジェクトだそうで、同じ耐荷力をもつ一般的なCLT構造と比較して、約46%も材料の使用を減らす構造設計を実現するという。

建築では、2X4材は壁を建てるものとして広く使用されている。この2X4材をスラブに使用することで、その厚さを調整できるようになる。たとえば、構造のトポロジー最適化により、設計では荷重経路に対して必要な場所にだけ構成材を配置でき、スラブの厚さは従来の骨組構造と比較して22インチ(約56cm)から17インチ(約43cm)に減少させることができる。

これにより、より高い天井高を実現したり、複数階を持つ建物の場合はフロアを追加したりできる。また、供給設備をスラブの開口部に通せば、配管やダクトを追加せずに必要なものを格納できる。今回はスラブ上部に雨よけとなるポリカーボネート製の屋根板を設置した。

また、2X4材で使われる高度な切削加工により、以前は大量の木材を用いた建築で使われていたスカーフジョイントなどの従来の接合方法が、より小さなサイズの部材で可能となった。そして、以前は廃棄されていた短い端材が「SPLAM」で利用できるようになり、材料の効率が向上したとしている。

組み立てはシンプルで、オフサイトで912の構成材をすべて事前に組み立て、現場では3~4人の作業員により1週間で完成させたそうだ。End