建築というプロセスを通じてコミュニティをサポートする
建築家ディエベド・フランシス・ケレ

▲Gando Primary School, photo courtesy of Erik-Jan Owerkerk

優れた功績をあげた建築家に贈られる2022年のプリツカー賞に、ブルキナファソ・ガンド出身でドイツ・ベルリンを拠点とするディエベド・フランシス・ケレ(Diébédo Francis Kéré)が選ばれた。

同氏は、建築というプロセスを通じてコミュニティをサポートし、変革をもたらしてきた建築家。建築やインフラストラクチャが整備されていない国々で、学校や医療施設、住宅、公共スペースなどの建設に携わってきた。資源が乏しく連帯が不可欠な地域において、彼の作品はたんなる建物を超えた価値をもつとされる。

たとえば、ケレが故郷で手がけた「ガンド小学校」(2001年)は、コミュニティとともに、コミュニティのために必要不可欠なニーズを満たし、社会的な不平等を解消するための基盤を整備するという同氏の理念を体現したものである。

限られた資源で厳しい暑さと劣悪な照明環境に対応できる施設を目指して、地元の粘土をセメントで補強することで熱を吸収するレンガを作製。屋内はひんやりとした空気を保ちつつ、レンガ造りの天井と広く張り出した高い屋根から熱を放出させて、空調設備を使わない換気を実現。また、構想から職人の訓練まで地元の住民に多くの機会を生み出し、学校の生徒数は120人から700人に増加、他の施設も増築されたという。

▲Centre for Health and Social Welfare, photo courtesy of Francis Kéré

ケレは「私はパラダイムを変え、リスクに耐えながらも夢を見る人々を後押しすることを望んでいます。裕福だからといって、素材を無駄にしていいわけではありません。また、貧しいからといって、質の高いものを作ってはいけないということもないのです」と述べる。「誰もが質の高いものや豪華なもの、そして快適さを手にしてよいのです。私たちは互いにつながっており、気候や民主主義、不足への関心は私たちみんなに共通することなのです」。

▲Lycée Schorge Secondary School, photo courtesy of Francis Kéré

また、同賞を後援するハイアット財団のトーマス・プリツカー会長は「フランシス・ケレは資源が非常に乏しい場所で、大地とその住民にとって持続可能な建築を手がけてきた先駆者です。彼は建築家であると同時に奉仕者であり、しばしば忘れられている世界の各地で数え切れないほどの市民の生活と体験を改善しています」とコメントしている。End

▲Serpentine Pavilion, photo courtesy of Iwan Baan

▲Sarbalé Ke, photo courtesy of Iwan Baan

▲Xylem, photo courtesy of Iwan Baan

▲Burkina Institute of Technology, photo courtesy of Francis Kéré

▲ディエベド・フランシス・ケレ photo courtesy of Lars Borges