NEWS | プロダクト
2022.03.22 16:15
佐藤オオキが率いるデザインオフィス nendoは、国際ハンドボール連盟(IHF)認定公式球となるモルテンのハンドボール試合球「d60」をデザインした。
ハンドボールではさまざまなスピンをかけたパスやシュートが使われるが、このときボールのグリップ力を高めるために、粘着力の高い「松ヤニ」が使用されるケースが多いという。
しかし、松ヤニが体育館の床を汚してしまったり、怪我の原因になったりすることもあるそうで、これらの課題を解決しつつ競技人口をさらに増やしていくために、IHFからの要望にもとづいて「松ヤニを使わなくてもグリップ力のあるボール」の開発がスタート。
「タイヤの溝」や「ヤモリの足の裏」など、吸着力を高める表面テクスチャーのリサーチを行い、機械のスイッチや工具のグリップ部分などに使用される「ローレット加工」の考え方を参考にして、60個の三角形で構成されるパネル構造を採用した。
パネルとパネルの継ぎ目の盛り上がり部分は硬く設計し、パネルの中央部は柔らかくすることで「段差」ができ、握りやすさを生み出している。さらに、従来の五角形と六角形の混在を改め、すべて三角形にすることで、ボールを握った際のバランスを均等にしている。また、パネルの接合は、これまでの手縫製からパネル同士を接着する組み立て方法に変更することで、より精度の高い形状が安定して製造できるようになったそうだ。
表面素材には合成樹脂を採用。これにより、手の汗を多孔質な表面が吸い込んで吸着してくれる。ベタつきも少なくて汚れにくく、しっとりとした独特の触り心地を実現している。