安藤忠雄と杉本博司が手がけた
新ギャラリーが直島町のベネッセハウスに開設

▲Yayoi Kusama, Narcissus Garden, Stainless steel spheres, 1966/2022, Copyright of Yayoi Kusama
Photo: Masatomo MORIYAMA

2022年に開館30周年を迎える香川県直島町のベネッセハウスでは、新たに2つのアート施設が2022年3月12日(土)にオープンする。

ベネッセハウスと地中美術館の間にある、李禹煥美術館の向かいの山間に位置する「ヴァレーギャラリー」は、ベネッセアートサイト直島における安藤忠雄の9つ目の建築や、草間彌生の「ナルシスの庭」、小沢剛の「スラグブッダ88」などの作品で構成される。

▲小沢剛《スラグブッダ88― 豊島の産業廃棄物処理後のスラグで作られた88 体の仏》2006年 /2022年

▲小沢剛《スラグブッダ88― 豊島の産業廃棄物処理後のスラグで作られた88 体の仏》2006年 /2022年

祠をイメージした安藤の設計による半屋外建築と、その周辺の屋外空間一帯を含めたこのヴァレーギャラリーができたことで、自然の中に点在するベネッセハウスの各棟や美術館施設が連結。エリア全体のランドスケープを体感でき、海だけでなく、豊かな山の植栽を楽しめるという。

▲▲ヴァレーギャラリー 撮影:矢野勝偉

▲▲ヴァレーギャラリー 撮影:矢野勝偉

アートディレクションを担当した三木あき子は、「境界や聖域とされる谷間に沿うように建てられた建築は、二重の壁による内部空間が内省的である一方、海側のシーサイドギャラリーと同様、半屋外に開かれ、光や風など自然エネルギーの動きも直接的に感じ取れます」と語る。

他方、「杉本博司ギャラリー 時の回廊」は、ベネッセハウスパークにおける杉本博司の作品の展示空間を、周辺のラウンジやボードルーム、屋外にまで拡げ、杉本の多様な作品群を継続的かつ本格的に鑑賞できるギャラリーである。

▲杉本博司ギャラリー 時の回廊 展示風景、2022年 撮影:森山雅智

▲杉本博司ギャラリー 時の回廊 展示風景、2022年 撮影:森山雅智

既存の「松林図」や「観念の形 003オンデュロイド:平均曲率が0でない定数となる回転面」などに、「ジオラマ」や「Opticks」といった主要な写真シリーズや、硝子の茶室「聞鳥庵」が新たに追加。また、ラウンジおよびボードルームは、杉本が主宰する新素材研究所のデザインにより一新された。

▲杉本博司ギャラリー 時の回廊 ラウンジ風景、2022年 撮影:森山雅智

三木は、「『時の回廊』とは、建築空間や自然環境を回遊し体感することを促す安藤建築の特徴や、杉本博司が追求し続ける時間に対する問い、そして彼らの長年にわたる直島との関係性などを反映し、宿泊者や鑑賞者に自然の変化や壮大な時間の流れを体感、歴史や生きることについて思索を巡らせてもらうことを意図するものです」と解説している。End