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2022.02.24 15:00
オランダ南東部の都市・フェンローにあるボメル・ファン・ダム美術館(Museum van Bommel van Dam)ではこのほど、歴史ある郵便局を改装した新しい施設がオープンした。同国の建築設計事務所BiermanHenketは、改修のほか、現代風の増築2か所と内装の設計も担当した。
美術館は、より多くの来場者を迎え入れるとともに、市内の文化的な出会いの場にもなるような新しい施設を要望。また、建築家のHayo Hoekstraが1938年に設計した国指定の歴史建造物であるかつての郵便局に新たな役割を与えることも求められていたという。
建物は古い市内中心部からフェンロー駅までのメインルートに位置し、付近には公園やリンブルフ州博物館がある。館内では1階から散策コースが始まり、オープンスペースには、現在のプログラムを掲示する大きなアートフレームを設置。2階へ向かう途中には、展示室の小さな「ティーザー」が見られる。
屋根のほうに上ると、彫刻のようなデザインのウィンドウや屋上テラスに至る。さらに、カフェやショップ、1500平米を超える展示スペースを併設。倉庫や学習スペース、オーディトリアム、美術関係の図書館、ワークショップ、オフィスも備えている。
改修にあたってはサステナビリティを重視し、美術館に適した屋内環境を作ると同時に、建物の歴史的価値も維持。増築部分であるウィンドウもアルミニウム板で覆うなど、リサイクル可能で寿命が長く、メンテナンスが少ないものとした。
このアルミ板の形状や折り目は、郵便局の歴史を称えるために封筒をイメージ。内部は竹で仕上げ、有機的な形状がシームレスに続くようにした。そのほか、公園側のガラス張りのエントランスも封筒のようなアルミ板で覆い、正面エントランスとは違った現代風のアレンジを施している。
また、エントランスのカウンターやバーカウンターなどの内装には、現地の建築廃材でできたタイルを使用。人工着色料は使わず、地元のガラス工場から出た余剰物で仕上げているそうだ。