▲Zahrah AlGhamdiのインスタレーション「Glimpses of the Past」（Desert X AlUla 2020）　写真：Lance Gerber／画像提供：Zahrah AlGhamdi・Desert X AlUla

中東・サウジアラビアでは、サイトスペシフィックな国際アート展「Desert X AlUla」が2022年3月30日（水）まで開催中である。舞台となるアル・ウラー（AlUla）は、ユネスコ世界遺産にも登録された、ユニークな景観をもつ砂漠の古代都市である。

同展が初開催されたのは2020年。第2回目となる今回は、他に類を見ない砂漠の景観に、サウジアラビア国内外のアーティストが手がけた現代アート作品を展示。古くから文化交流を行い、そのレガシーが残された自然あふれるクリエイティブな場所を存分に活用している。

▲キュレーターのNeville WakefieldとRaneem Farsi　写真：Noon Art／画像提供：RCU

展覧会が追求するのは、砂漠の歴史と文化になくてはならない蜃気楼とオアシスである。これらは時間が経つにつれて、世界的な重要性を帯びるようになってきたという。この古いコンセプトをもとに、参加アーティストは新作を発表。自然と人工物という2つの世界を見据えながら、夢やカモフラージュ、フィクション、消失／出現、幻想、神話などをテーマにしたそうだ。

▲画像提供：Desert X AlUla

▲Muhannad Shonoのインスタレーション「The Lost Path」（Desert X AlUla 2020）　写真：Lance Gerber／画像提供：Muhannad Shono・Athr Gallery・Desert X AlUla

▲Manal AlDowayanのインスタレーション「Now You See Me Now You Don’t」（Desert X AlUla 2020）　写真：Lance Gerber／画像提供：Manal AlDowayan・Desert X AlUla

▲Lita Albuquerqueのインスタレーション「NAJMA (She Placed One Thousand Suns On The Transparent Overlays Of Space)」（Desert X AlUla 2020）　写真：Lance Gerber／画像提供：Lita Albuquerque・Desert X AlUla

キュレーションアドバイザーを務めるReem Faddaは、「砂漠の蜃気楼とオアシスというコンセプトは、生存や忍耐、欲望や富といったものと古くから結びついてきました。オアシスは繁栄や天国の発見という理想を体現するものであります。その一方で、蜃気楼は想像力と現実の不思議さを表す普遍的なシンボルです。またこれらは、何もかもが奪われた場所である砂漠に現れる不可解な美しさと豊かな自然を暗示するものでありますし、これを捉えて支配したいという人間の執拗な欲望を示すものでもあります」とコメント。

さらに、「『Sarab』というテーマのもと、展覧会に参加するアーティストはみな、アル・ウラー一帯で時を過ごすことで、野心的で非常に革新的なサイトスペシフィックな作品を仕上げることができました。また、彼らはみな、現地の文脈に特有なだけでなく世界中の鑑賞者と共感を分かち合うような、そんな深い問題にも取り組んでいるのです」と語っている。