NEWS | サイエンス
2022.02.17 13:00
金属に他の金属や非金属を混ぜたものである「合金」ができたのは、今から約5000年前の青銅器時代なのだそうだ。それ以来、さまざまな合金が誕生してきたが、また新たな合金がこのほど生まれた。
京都大学や信州大学などの研究チームが発表したのは、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)という、貴金属8元素を原子レベルで均一に混ぜ合わせたナノメートルサイズの合金(ナノ合金)で、世界で初めて混合に成功した。
これら貴金属8元素合金を構成する各原子は、単一成分の時とはまったく異なる電子状態をもつそうで、元の性質とは大きく異なる個性をもつ新しい原子になることがわかったという。さらに、この合金を水電解の陰極(還元)反応である水素発生反応電極触媒として使うと、市販の白金触媒と比べて10倍以上も高い活性を示すことが明らかにされた。
金、銀、オスミウムなどは従来、水素発生反応触媒として機能しない元素と考えられてきた。しかし、このように格段に触媒活性が向上したことから、多元素が原子レベルで混合すると、不活性な元素が反応を促進する電子状態を持つ原子に変わったり、活性な元素がさらに高活性な原子に変わったりすることが示されたとしている。