NEWS | フード・食
2022.01.31 12:00
慌ただしい日常生活のなかで、なにかと煩わしいのが食事の準備である。ただ、できあがったものを買ってきたり、デリバリーを頼んだりしても、自分の食べたい味と微妙に違うこともあるだろう。
そこで、米コロンビア大学のコロンビア・エンジニアリングが開発に取り組んでいるのが、食べたいものを調理してくれるマシンである。その特徴は、3Dプリント技術で食材を成形し、レーザーで調理をしてくれることにあり、ボタンを押すだけで好みの形や食感、味つけにするという。
マシンを手がけたのは、機械工学が専門のHod Lipson教授が率いるCreative Machines Labの「デジタルフード」チーム。筆頭研究者の大学院生 Jonathan Blutingerは「食事は私たちの誰もが日常的に作ったり、個人の好みに合わせたりするものです。料理向けのソフトウェアを作り、カスタマイズの自由度がある食事を完成させたいと思うのも当然ではないでしょうか」と語る。
また同氏は、「3Dプリンタはミリ単位の精度で食材を作れますが、これと同じような解像度をもつ加熱方法はありません」とコメント。「多くの食品では、栄養や風味、食感を生み出すためには調理することが必要ですが、レーザーでこうした特性を正確にコントロールする方法を開発できるかどうかは疑問でした」と述べている。
研究チームが行った実験では、サンプルの鶏肉を3mmの厚さでプリントし、これにブルーライト(445nm)と赤外線(980nmおよび10.6μm)を照射してさまざまな調理方法を検討。焼き具合や色合い、水分量、風味の違いなど、レーザーで調理したものとオーブンで調理したものを、さまざまなパラメーターで評価した。
その結果から、レーザーで調理した肉の場合、収縮が50%少なく、水分量が2倍に保てるなど、従来の調理による肉と遜色のない風味になることを発見したそうだ。