NEWS | 建築
2022.01.26 18:08
建築家の藤本壮介がハンガリー・ブダペストで手がけた、「ハンガリー音楽の家(House of Hungarian Music)」がこのほど完成した。
自然と構築環境との境界をなくし、訪れた人に建物に入ってもまだ公園を散策しているかのような感覚を体験してもらうことが目標だったという藤本。これを実現するために、レンガの壁を作るのではなく、大きな「ガラスカーテン」で建物を囲み、透明性と風通しの良さを作り出した。
使用したガラスパネルは94枚。こうしたファサードはヨーロッパでもなかなか見られないそうで、高さは約12mに達するものもあるという。それぞれのパネルはひとつひとつ作られ、ていねいに組み立てられている。
さらに、吊り天井には、樹木の葉をかたどった千枚以上の装飾プレートが施されている。これらは光の変化にたえず反応し、自然の中にいるかのような感覚をさらに強めてくれる。
3つの構造からなる建物は、さまざまな演奏会やイベントにも対応。2,500平米の地下スペースは展示会用に設計されており、常設展や企画展、サウンドドームの会場にもなる。1階には、ガラス張りのコンサートホールと湖畔の野外ステージがあり、自然と音楽を楽しむことができる。また、最上階には学習・教育向けの静かなスペースを完備している。
藤本は、「私たちがこの地で手がけたのは建物だけではありません。公園の体験をプロジェクトに組み込んだのです。このような建築設計は非常に刺激的なものでした。リゲット・ブダペスト・プロジェクト(Liget Budapest Project)とハンガリー音楽の家は、緑と構築環境の調和を実現するもので、将来の都市開発者のモデルとなる、象徴的な開発プロジェクトになることを願っています」とコメントしている。