英ケンブリッジ大学、目に見えない
赤外線を検出する方法を発表

▲Credit: NanoPhotonics Cambridge/Ermanno Miele, Jeremy Baumberg

私たちは赤外線を目で見ることはできないが、それは常温で周囲の熱に比べて発するエネルギーが弱いからだそうだ。きわめて低温に冷却した特別な検出器を使うことで赤外線は見られるようになるが、それでも費用が高くエネルギーを大量に消費するという。

そこで、英ケンブリッジ大学を中心とする研究チームは、赤外線を簡単に検出し、可視光線に変換するための新しい概念を確立したことを発表した。

研究チームは、振動する化学結合内で中赤外線を吸収する単分子層を使った。これら振動する分子は遭遇した可視光線にエネルギーを供給し、スペクトルの青端に近い発光へと変換されると、最新の可視光カメラで検出できるようになる。

これにより、汚染物質を感知したり、癌を追跡したり、ガス混合体を監視したり、宇宙空間を遠隔で探知したりといったことが、低コストでできる可能性が出てくるそうだ。

課題となったのは、振動する分子がすばやく可視光線に遭遇すること。このためには、金で縁取ったくぼみに光が入りこみ、分子の周りに光をしっかりと捕らえなければならない。

そこで研究チームでは、反射鏡と金の小塊のあいだに単分子層を挟みこむ方法を考案。これは、人間の髪の毛の10億分の1の大きさで光が入りこむ「メタマテリアル」でのみ実現できるとしている。End