東京の水辺に「新しい庭」を創る
慶應大・田中浩也研究室の取り組み

東京都港区にある水辺の複合施設・ウォーターズ竹芝は、慶應義塾大学・田中浩也環境情報学部教授が率いる慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)田中浩也研究室と連携して、研究室の学生たちとともに東京の水辺空間に「新しい庭」を創る取り組みを開始する。

その第1弾は「みらい作庭記 -2021 Winter-」と題し、子ども向けに制作された不思議なオブジェ(遊具)を2021年12月8日(水) から2021年12月14日(火)まで設置する。

日本最古の庭園書である「作庭記」を手本に、最新のデザインスキームと3Dプリンティング技術で制作した作品で実際に遊ぶことができる。さらに、3Dでモデリングされたバーチャル空間も用意し、現地に来られない人にもブロックを用いた庭づくりをバーチャル空間内でイベントを楽しむことができるという。

▲マチカド(MachiCAD):田中浩也研究室が独自に開発したシステムに基づく、ブラウザを開くだけで広がる、「参加型で編集が可能な」まちの3Dバーチャル空間

2005年にスタートした田中浩也研究室(4D Fabrication Lab)では、デザイン工学(エンジニアリング)の視点から、デジタル・ファブリケーションや3D/4Dプリンティングの可能性に国内でいちはやく着目。

▲オブジェの配置:芝生上で毎朝並べ直されるオブジェの初期位置は、離散的な石庭の形式から学びつつ、作品相互の見えがかりと互いの影響範囲からコンピュータで最適計算のうえ決定される。

3Dプリンタは消費電力や騒音が少なく、ゴミを出さない造形法であり、人にも環境にも優しい性質を持っている。少ない材料量でもユニークな機能を発現したり、独特の機構を宿したメタマテリアル技術の応用を行っている。

▲「滴脈の間」

今回のオブジェにもその仕組みが取り入れられているという。木下里奈さん(慶應義塾大学環境情報学部4年)による「滴脈の間」は、重力が生み出す曲線を用いた、風で動く柔らかな構造体。生分解性プラスチックを使用し、少ない材料で広い空間を覆える構造となっている。

▲「遊具と街具のあいだ」

また、矢崎友佳子さん(慶應義塾大学環境情報学部4年)が手がけた「遊具と街具のあいだ」は、家具スケールの3Dプリンタを用いて作った柔らかな街具。異なる性質の街具ブロックを組み合わせることで、それぞれ場所や人の振る舞いに対応した心地よい使い方を見つけることができる。End

「みらい作庭記 -2021 Winter-」

会期
2021年12月8日(水)~2021年12月14日(火) 入場無料
開催時間
10:00~16:00 ※12月8日(水)・11日(土)・12日(日)・14日(火)の4日間は18:00頃までライトアップを予定
会場
ウォーターズ竹芝プラザ(芝生広場)および3Dバーチャル空間
詳細
https://waters-takeshiba.jp/news/event/20211201140000/