NEWS | プロダクト
2021.11.22 17:30
自閉症をかかえる人の多くは、感覚にもさまざまな困難をかかえているそうだ。騒音や光、フィジカルなコンタクトなどは日常生活において切実な課題で、不快感をもたらしたり、感覚過負荷をもたらしたりと、行動に大きな影響を及ぼすとされる。
こうした問題に対して、フランスの若手デザイナー Alexia Audrainは、自閉症の人のためのチェア「OTO」を開発した。座った人をすっぽりと包み込むデザインで、その内側にもうひとつ壁があり、胸や足にしっかりとした圧をかけることができる。
こうしてユーザーの体を包み込むことで、感覚がもたらす情報に集中し、緊張を緩和して、その場で気分がよく感じられるようになるという。
感覚過敏などでは、定期的にしっかりと持ってもらったり、ハグしてもらったりすることが必要となる。チェアに座って深い圧をかけてもらうことで、自身の環境をより意識し、自分の体の境界を感じて、心がより穏やかになるのだ。
チェアは木製でリモコンがついており、プラスやマイナスのボタンを押せば、内壁の膨張や収縮を操作することができる。チェアにタブレットをつなげば、同伴者がユーザーの好みに合わせて圧力レベルを設定したり、使用している様子をリアルタイムで追跡することも可能だ。
さらに、繭のような形状によりプライバシーが確保でき、ユーザーに安心や安全をもたらしてくれる。また、音もこもるようになっていて、ユーザーは自分の体に集中し、外部から自分を隔離してくれる。
なお、このチェアはJames Dyson Award 2021の「国際TOP20」を受賞。2021年1月よりフランスの児童精神医学者・Bonnet-Brilhault氏のもとで影響や効果を評価するテストが行われており、2022年9月の製品化を目指しているそうだ。