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2021.11.19 20:40
バルミューダは2021年11月16日(火)、IT機器・サービスの新ブランド「BALMUDA Technologies」を立ち上げ、第1弾製品となる5Gスマートフォン「BALMUDA Phone(バルミューダ フォン)」を発表した。日本のスマートフォン市場をアップルが独占しているなかで、これまで他にはないデザインと機能で評価を集めてきた、バルミューダが発表するデザインと機能に期待をした人は少なくない。
11月19日(金)にオープンする、バルミューダ初の旗艦店「BALMUDA The Store Aoyama(バルミューダ ザ・ストア 青山)」で、バルミューダ代表取締役 寺尾 玄に話を伺った。
デザインを選択する自由
これまでバルミューダは他にはないデザイン性やコンセプトを持った、唯一無二の製品を世に送り出してきた。代表取締役兼チーフデザイナーとして活躍する寺尾には、現在のスマートフォンがどれも同じように見えてしまうそうだ。
自分らしくいるために、毎日着る服を選んだり、暮らしをつくるインテリアや家電を選ぶ自由があるのに対して、今のスマートフォンには、その自由がそもそも用意されていない。その現状に「自分らしさって、他人が思うより大事じゃないでしょうか?」と疑問を投げかける。
たくさんの人が同じものを持っているという状況を奇妙に感じた寺尾は、新たな選択肢を自らがつくることにした。
「BALMUDA Phone」という選択肢
寺尾はまず、既存のスマートフォンへのアンチテーゼとして、BALMUDA Phoneの画面を大型化の流れには同調せず小さめに設計した。「画面が大きい方が操作や動画の視聴をするうえで、大切であることを理解はしている。しかし同時に人生の重要なことは、たいてい画面の外で起こっている。」と寺尾はいう。スマートフォンが暮らしの中心になっている今は人々の意識をあえて画面の外へ向けさせるためにこのサイズに至ったという。
また、スマートフォンは画面を見るだけでなく、同時に手で使うもの。そこで重要となるのが持ちやすいサイズだ。「もはや片手にも収まらず、ポケットにも入らないスマートフォンを使っている姿は、決して格好良いと思えません。」と寺尾は指摘する。
寺尾が形のイメージとして思い浮かんだのは、「京都のお寺にあるような、くり抜かれた石に張られた、緊張感のある水面の有機的な形」だった。この形に行きつくまでにつくったモックアップは80個以上に及んだという。そうしてBALMUDA Phoneの画面は小さく手に収まるサイズ感で、さらにとても軽く仕上がった。
小さくなったことのメリットは少なくない。例えば、通話時や食事の席、駅の改札で感じていた、使用時の煩わしさを感じさせない。動作の度にスマートフォンに意識を向けられることなく、視線が自然と外へ向くような、存在を感じさせないスマートフォンとなっている。
時間を短くしよう、なるべく早く
BALMUDA Phoneでは、バルミューダの製品同様ハードのデザインはもちろん、機能面を担う、アプリケーションの開発も自社で行った。ホーム画面・スケジューラ・計算機・カメラ・メモ・時計は使い心地の良さを追求することで、より感覚的に検索や計算をすることを目指したそうだ。
例えば、メモアプリは画像の一覧表示やピンチアウトとインを行って、目的のメモを感覚的に素早く探し出し、内容を確認することができる。時短というわけではないが、できるだけ最短距離で気持ちよく使えるUIとなっている。
ダイバーズウォッチを参考にしたタイマーや、簡単に料理をシズル感ある写真を撮れるカメラはバルミューダの家電との相性も良い。アプリケーションについては、来年度中に5つは追加され、その後もBALMUDA Phoneだけで展開される予定だという。
寺尾は自分たちのできる最良のデザインを実現したという自負も忘れない。そうやって多くの支持を得てきた寺尾には「この良さがすでに伝わりつつある」という実感があるそうだ。
ハードとソフトの両方でGAFA一色に染まった、選択することのできない現状に疑問を抱かせ、anotherの選択肢を創った。それは、型にハマることが嫌いな寺尾が率いるBALMUDA Technologiesだからこそできた挑戦だと言える。
実機に触れた感想として、BALMUDA Phoneは安易に購入できる価格帯ではないし、既存のスマートフォンと機能が大きく違うかというとそうでもない。しかし、過去フューチャーフォンにあった良い面影を感じることができた。それはたくさんあるものの中から、欲しいものを選ぶことができるという選択の感動ではないかと思う。周囲の情報に左右されずに、ぜひ手にとって触れてみてほしい。
BALMUDA Phoneに鼓舞された他のメーカーからも、新たなスマートフォンが誕生し、今後は多種多様なスマートフォンの中から、自分らしいものを選択することができるようになるのかもしれない。その潮流をBALMUDA Technologiesが牽引してくれることに期待したい。