富士通プロダクトデザイン部×古河電気工業
「銅箔」の抗菌性能に着目するノベルティをデザイン

富士通エクスペリエンスデザイン部はこのほど、社外の顧客へのデザインサービスの提供を開始した。たんなるデザイン制作を行うのではなく、これまでの製品開発で培ってきた経験を活かした、UXを起点とする総合デザインサービスを手がけるという。

その第1弾プロジェクトとして、古河電気工業の主要製品のひとつである「銅箔」の認知度向上を目指したノベルティのデザインを行った。今回着目したのは銅がもつ「抗菌性能」である。しかし、コロナ禍においてこうした銅の性能に光が当たったものの、世間の認知度はそれほど高くなかったそうだ。

古河電工は当初「銅箔製マスク」も試作したが、プロダクトを作る以前に銅箔そのものをもっと知ってもらうための発信や働きかけが必要だとの考えに至り、デザインの力で現状を変えようと富士通プロダクトデザイン部に協力を打診。

銅箔を使ったノベルティだけではなく、プロモーションや製品適用など、初めは広い切り口での提案を意識したという。それから、古河電工の顧客やエンドユーザーから見た時に、どんなことが面白かったり、嬉しかったりするのかという点を重視した。また、アイデア出しでは、デザイン思考のバックボーンである利用者起点の発想を大切にした。

こうしてできあがったのが、銅箔による「抗菌箸袋」「抗菌シール(アルコールボトル用)」「銅箔をパッケージにした菓子」などのアイテムだ。

抗菌箸袋は、コロナ禍において口の中に運ぶカトラリーの衛生が気になることから着想した銅箔製の箸袋。箸袋の内側が銅箔でできており、そこに挿入した箸をつねに清潔に保つことができる。

銅箔製のシールは、手指消毒用のアルコールボトルのポンプヘッドに貼ることを想定したもの。円形状にすることで剝がれにくさがあり、ポンプヘッドにフィットする象徴的な形とした。不特定多数の人が触る箇所に貼ることで衛生を保ち、ウイルスの媒介を防ぐことにつながる。

また、銅箔を包装パッケージとした菓子は、日本の伝統的なコインである「小判」の形状のモチーフにしており、受け取り手に楽しさを与えるものである。さらに、菓子を清潔に保つ機能も兼ね備えている。End