デンマークの若手建築家が考案する
月面生活に向けた住居「LUNARK」

世界のさまざまな国が現在、月探査ミッションに取り組んでいる。これから有人月探査もますます進んでいき、やがては私たちが月で生活する日が来るかもしれない。

そんな将来の月面での生活を見据えて、デンマークの宇宙建築家 Sebastian AristotelisとKarl-Johan Sørensen(SAGA)は月面住宅「LUNARK」を開発した。

Kickstarterでもクラウドファンディングを行ったLUNARK。訓練を受けた宇宙飛行士だけでなく、一般の人でも住めることを目指した住居で、先進の機能を備え、住みやすさも追求しているという。

外観はタンクのようであり、内部は「ヒュッゲ」(居心地のよさ)をもたらす住居となっている。さらに、月面での生活に向けて、日々の単調さによる「感覚のマヒ」といった課題にも取り組んでいる。

また、日本の折り紙と現代のアルゴリズム設計を組み合わせることで、軽量で丈夫、なおかつ遮蔽性のある折り畳み式の構造が実現。輸送中のスペースを節約するとともに、展開したあとのスペースを最大限確保できるとしている。

開発はまず、リサーチ用にシミュレートしたコンセプト月面住宅を構想。設計、調査、プロトタイピングに数千時間を費やしたのち、住居の建設をスタート。完成後は地球上でもっとも過酷な気候のグリーンランドに輸送した。

この隔離された場所では、-30°Cの低温、ハリケーンによる強風、空腹のホッキョクグマの襲撃といった極限状態にも耐えられるように、2021年12月2日(木)まで85日間の実証実験を行っている。

宇宙産業で現在実施されている多くの同じようなミッションには、大きな制限があるとされる。つまり、こういったストレステストには実際の危険性が生じないのだ。こうした課題を解決するため、地球上でもっとも月に似た場所のひとつであるグリーンランドを選んだそうだ。End