隈研吾設計の小松マテーレ「fa-bo」
繊維の魅力を体感できる施設として一般公開

小松マテーレは、石川県の地場産業である繊維をローカルツーリズムと産業観光の観点から学べる場として、本社敷地内のファブリックラボラトリー「fa-bo(ファーボ)」をリニューアルし、一般公開を開始した。

「fa-bo」は、1968年に建設された旧本社棟を、世界で初めて炭素繊維の組紐を用いて耐震補強工事をしたユニークな建物。2015年11月に建築家・隈研吾が設計を手がけた。

建物の補強そのものを意匠として表現することで付加価値を高めており、いわば建造物の「アップサイクル」ともいえる建築である。

施設内では、同社の加工技術を活用し、「繊維を染める」「繊維を編む」「繊維を組み合わせる」の3つの体験ができるワークショップを用意。主に工場から発生する端材を活用しており、完成品は当日持ち帰ることができる。

「ファッションアーカイブ」は、1980年代から今日までの同社のファブリックの魅力と歴史を体感できるコーナー。5万点にもおよぶ生地サンプルに触れることができ、生地がつくられた当時のトレンドが感じられ、さまざまな表情や手触りが楽しめる空間となっている。

また、特別展示スペースでは、世界の歴史と繊維産業の成り立ち、同社の歴史を時系列で解説した年表、イメージ映像などで同社の染色/後加工技術をわかりやすく紹介するコーナーを用意。

地球環境の保護や自然との共生に対して、同社が目指す持続可能な社会をイメージしたジオラマ模型も展示した。隈研吾が創造する繊維の表現力を示した数々のオブジェによる独特な世界観が楽しめる。

隈研吾は、「『fa-bo』はこれまで携わった中でも印象深い建築です。カーボンファイバーで補強したいという話を聞いたとき「これは難しい」と思いました。コンクリートや鉄で出来たものをあんなフニャフニャなもので補強できるのか?と。意匠的には最後まで不安でしたが、皆さんのご協力、熱意が良い結果を産んでくれました。今回、我々の協業の一端をお見せする機会を得ました。ご覧いただければ幸いです」とコメントしている。End

小松マテーレ ファブリックラボラトリー「fa-bo(ファーボ)」

住所
石川県能美市浜町ヌ167番地(小松マテーレ本社敷地内)
営業時間
10:00~17:00 火曜日(年末年始、GW、お盆期間)
料金
入場料(見学)無料・ワークショップ体験料500円/人
※下記サイトより事前予約制
詳細
https://www.komatsumatere.co.jp/cabkoma/fabo.html

▲隈研吾