「東京海上日動ビル」保存改修計画
noizがプロポーザルを公開

▲©️noiz

2021年、東京・丸の内にある「東京海上日動ビル」の建物の解体と再開発による新築計画が発表された。建築家・前川國男が設計を手がけ、1974年3月に竣工した、日本で最初期の超高層ビルのひとつである。

粗々しい質感に富んだ赤いレンガタイルや、垂直の柱と窓による彫りの深い構成とリズミカルに刻まれる影、雁行状に分節されたボリュームなど、歴史的な観点からも美的な観点からも保存されるべきランドマークとなっている。

しかし、現状では容積や高さが十分に活用されておらず、機械や空調などの設備やセキュリティなども、現代のビジネススタンダードにはふさわしくない点があるという。そこで、建築設計事務所 noizは、同ビルの保存改修計画のためのプロポーザルを公開した。

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同事務所が提案するのは、オリジナルの美的・歴史的な価値を残しながら、最新のオフィスビルの環境性能や機能性も新たに加え、文化財としての価値とビジネス価値を両立させることである。

そこで、既存のタワーを新しいガラスの外皮で「巻き取る」という手法を提案。透明な葛で餡を包み込む「葛饅頭」のように、透明な新しい外皮で既存の重厚なタワーを包みこみ、新たな二重構造を構成するのだ。

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新しい外皮は遮熱性や断熱性をもち、開放的な視界を確保するとともに構造的な補強も実現。拡張された容積には、新しい機能をサポートする垂直動線や設備のコアが追加挿入され、上部にはオリジナル案で計画されていた高さまで床の積み増しを行い、延床面積はほぼ3倍になるそうだ。

さらに、ホテルエリアとサービス・アパートメントは需要に応じた互換性があり、中間階や高層部には広場や公園が挿入され、広範な対応性を備えた社会的持続性の受け皿にもなる。

外壁に組み込まれた垂直の半屋外シャフト「グリーンシャフト」は、各層に自然換気とグリーンな景観を提供。また、ドローン専用の独立した軽物流動線やランディング施設としても機能する。

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noizによる今回の自主提案は、老朽化問題が顕在化しつつある高度成長期の建築群や、そうした状況全体に対するひとつのマニフェストでもあるとしている。End

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