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2021.09.29 16:30
ユニークなデザインとパターンが詰まった古代のアイコニックなテキスタイルは、伝統的な舞踏や音楽に花を添えるとともに、そのコミュニティやアイデンティティ、表現にたいする意識を強めるものとして使われてきたという。
こうした伝統的なテキスタイルに対し、MITメディアラボの研究員Irmandy Wicaksonoが開発したのが、感圧センサを内蔵したインタラクティブな電子ニットカーペット「Tapis Magique」だ。
ジャワやバリの布地「バティック」や「イカット」の職人技と伝統的なパフォーマンスアートとの結びつきにインスパイアされたカーペットで、上に乗る人の身体の動きにもとづいて3次元センサによるデータを生成し、没入型の音響環境をリアルタイムで作り出すことができる。
ダンサーはこれにより、創造的で従来の型にはまらない、音と身振りによるオリジナルのインプロビゼーションができるようになる。
さらに、機械編みと導電性繊維による積層造形プロセスにより、大型のインタラクティブなテキスタイルが実現。ふだん使いのきれいなテキスタイルのうえで、「没入=デジタル」と「触覚=フィジカル」の2つの楽しみ方ができるのだ。
毛皮のような質感は人工ミンク糸によるもので、フィジカルなフィードバックを柔らく受け止め、なおかつ温かみのある快適な感触を提供。さらに、発光性の糸を表面に使うことで、夜間のパフォーマンスにおいて星空をつくりだすような演出も可能である。
楽曲については、振付師と楽器のあいだのさまざまなパフォーマンスに対応できるように、複数のパッチケーブルをつないだデジタルモジュラーシンセサイザーを使用している。
こうしてできあがったパフォーマンス作品の1つ「ヴィーナス・サンライズ」は、ダンサーが時空を旅して星々の周りを巡る動きと、宇宙から響く天の音をメタフォリカルに表現しているそうだ。
Tapis Magique: A Choreomusical Interactive Carpet from MIT Media Lab on Vimeo.