秋を彩る日本の器。7回目の「日本の道具」展が開催中です
【前編:岩手、富山、島根、沖縄のつくり手たち】

恒例となりました、リビング・モティーフでの「日本の道具」展。7回目の今年の開催は、9月9日(木)〜10月12日(火)です。

テーマは「器を愉しむ、秋のしつらえ」

今回も、全国のつくり手から良品が届いております。秋の夜長にご自宅での時間を、より味わい深いものにする作品のつくり手の紹介を、2回に分けさせていただきます。




佐々木奈美(岩手県・鉄瓶)

1984年生まれ。美大を卒業後、一旦、社会に出た後、岩手県水沢地区の後継者育成プログラムに応募。ご両親には反対されたそうですが、「ものづくりがしたい」と、鉄瓶の世界に飛び込みました。2019年に独立。「奈の花」の屋号で活動されています。歴史を踏まえながらも、独自の世界観をもった気品あふれる鉄瓶を生み出しています。

▲ご主人の下野典行さんは「鉄瓶遊山」の屋号で活動する、同じく南部鉄器の職人。お邪魔したときに、鋳込みの動きをポーズしてもらいました。

▲辞められた職人の工房を居抜きで使わせてもらっている。型に鋳込みをする際は、「もらい湯」と言って、大きな工房で鉄を流し込ませてもらうなど、産地ならではの助け合いがあります。


▲会場に並ぶ鉄瓶。雑誌などで気になった写真やイラストは、切り抜いてスクラップしているという、ちょっと昭和なところを持つ奈美さんです。




sabi wabi (島根・鉄鍛冶)

kaji-hiromitsu.com
instagram: @kajikobohiromitsu

日本刀の鍛冶の仕事の流れを汲む、鍛冶工房弘光。11代目の小藤宗相(ことう・しゅうすけ)さんが、「錆びる鉄」の趣を分かち合うために立ち上げた「sabi wabi」というレーベル。一般的なフライパンなどは錆止め加工をしてありますが、このレーベルのものは無塗装。当然、水分や塩分がついたままですと錆びます。ですが一点一点丁寧に叩き、酸化皮膜のベールができているので、インテリアアイテムとして使う場合は、じわり…という経年変化です。

プレートをもし、料理に使いたい、という方は、鉄板がわり、つまり油をたくさん含む料理の場合のみのご使用をお勧めします。

*小藤さんは9月17日(金)20時−21時 @livingmotifのインスタライブに登場してくださいます。

▲猫のミーちゃんは工房がお気に入りだそう。写真右は、「バーベキューなどで使って欲しい」と開発したフライパン。




金城宙矛(沖縄・陶器)

instagram: @hiromukinjo

平成元年、沖縄県生まれの金城さん。癖のある沖縄の土と向き合っています。沖縄の土は、北部と南部で全く組成が違うそうです。北部の土は、火山隆起の際の噴火で固まった岩石が風化して、土になり、耐火性があるとか。

北部の土3種類に繋ぎとして、信楽土を少々ブレンド。化粧となる灰は薪窯からでる土灰やガジュマルの灰。籾殻やサンゴ灰も使われています。沖縄の原料は安定しないものが多い。けれど、その安定しないところに面白さを感じ、日々、研究しているそうです。

▲「うつわをつくりたい」という金城さんの味のある土でつくった使いやすいうつわが並んでいます。

▲新しくできた工房。9月17日はこちらからインスタライブに参加してくださる予定です。@livingmotif

▲お世話になっている方の穴窯を借りて制作することもあるそうです。

▲小田原のうつわ菜の花さんのグループ展「めしわん 300」(2020年)に参加いただいたとき。金城さんに出品いただいた飯碗は完売でした!




WASHIZUKA GLASS STUDIO (富山・硝子)

www.washizukaglass.com

1971年富山県生まれの鷲塚貴紀さんが主催する硝子工房。「グラスひとつで、生活が整うかもしれない」という思いでつくられているグラス。神々しいほどすっとしたグラスは、確かに、周りを変える力を持っています。この美しさは、ぜひ、手にとってご覧になっていただきたいです。End

▲影も美しいグラス。色は少し黄味ががったクリアとスモークの2点。

▲鷲塚さんと話をしていると、実直な人から実直なものが生まれる、と納得させられます。

▲工房の窯は今月には新しくなるそうです。お邪魔したときは、窯を閉じたタイミングでした。

日本の道具 器を愉しむ、秋のしつらえ

会期
2021年9月9日(木)〜10月12日(火)
会場
東京・六本木 リビング・モティーフ1階
詳細
https://www.livingmotif.com/news/210902_01