NEWS | 工芸
2021.09.07 17:15
400年の歴史をもつ鋳物の町・富山県高岡市の鋳物メーカー中村製作所と、プロダクトデザイナーの阿部憲嗣は、2021年に共同でインテリアブランド「ifuki(イフキ)」を立ち上げた。
砂型鋳造が主流とされる高岡で、中村製作所が専門とするのは、ワックス(ろう)の比較的低温で溶ける性質を利用した「ロストワックス精密鋳造」。設計の自由度が高く、龍の置物など複雑な形状や、寸法精度の高さが求められる機械部品にも対応でき、その強みを生かした製品の数々を手がけている。
同社は、「富山デザインコンペティション2018」において、阿部と共同で「ARMADILLO(アルマジロ)」という作品を試作開発。これが同コンペでグランプリを受賞したことをきっかけに、2年間の準備期間を経て「ifuki」をスタートした。
その特長は、「薄さ」「透かし」「中空」「多素材」「吹き分け」「ワックスの自由性」といった、ロストワックス精密鋳造の技術の数々を盛り込んでいることにある。
今回は、お香たてやダンベル、花器、箸置きからなる7アイテムをラインナップ。モダンスカルプチャーを思わせるデザインで、シルジン青銅をはじめとした金属の光沢により、ふと視界に入ったときに気分が上がるアクセサリーのような、生活に華やかさを与えてくれるアイテムに仕上げたという。
「ifuki」というブランドネームは、高岡の職人たちが鋳造することを「吹き」と呼ぶこと、そして、中村製作所の持つ技術に新たな「息吹」をもたらしたいという想いから命名。
今後は、伝統技術を継承する職人たちの手で、人々の心に触れ、生活に豊かさを与える商品を生み出していきたいとしている。