ケース・リアルが店舗設計を手がけた
佐賀・嬉野の「MILKBREW COFFEE」

▲写真:水崎浩志

デザイナーの二俣公一が率いるケース・リアルは、佐賀県嬉野市にある塩田津(しおたつ)町にオープンしたミルク出しコーヒー店「MILKBREW COFFEE」の店舗設計を手がけた。

塩田津は、国の伝統的建築物群保存地区に指定された、一帯は外壁が白漆喰で覆われた町屋が立ち並ぶ、歴史情緒の溢れた風景が広がる地区である。

▲写真:水崎浩志

今回は、この地区のメイン通りに面し、かつて銀行としても使用された蔵を、酪農家とロースターとの協働から生まれたMILKBREW COFFEEの旗艦店として改修することが求められた。

計画では、この蔵が国の登録有形文化財に指定されており、白漆喰で覆われた外観には一切手を入れないことが前提となっていた。

▲写真:水崎浩志

一方、内部については、蔵のオーナーが大切に管理し、壁面の土壁や板壁、天井裏の屋根組など、いずれも保存状態が良いことから、大きく一新してしまうのではなく、既存の状態を極力生かしながら、必要となる機能をレイアウトすることにした。

▲写真:水崎浩志

▲写真:水崎浩志

まず、テイクアウトやスタンディングカウンター向けのカフェ機能は蔵の入り口側に配置。カウンターや壁面ディスプレイなどは、真っ白なミルクからインスピレーションを受けた白い人工大理石で製作し、ジョイント部をスムージングして滑らかな質感の塊になるよう仕上げた。

▲写真:水崎浩志

▲写真:水崎浩志

また、天井の屋根組の迫力が圧巻だったことから、カフェスペースの上部のみ屋根裏の床板を撤去し、蔵の持つ強さを最大限感じられる空間を実現。

▲写真:水崎浩志

一方、乳製品の開発や加工を行うラボ機能は、既存の壁からセットバックした位置に新たに壁を設け、既存の土壁や板壁に手を加えることなく、蔵の中に独立した空間を箱として作った。

▲写真:水崎浩志

▲写真:水崎浩志

カフェスペースの背景となる壁はガラス張りとすることで、カフェ側からもラボスペースのライブ感を感じられ、蔵と新たな機能とが統合されたハイブリッドな空間が出現。

▲写真:水崎浩志

▲写真:水崎浩志

▲写真:水崎浩志

▲写真:水崎浩志

メインの蔵の入り口には、既存の木製引戸の内側に新たに自動ドアを設置。一見すると元々ある蔵の外観でありながらも、通りに新たな空気感が滲み出るように仕上げている。End

▲写真:水崎浩志

▲写真:水崎浩志

▲写真:水崎浩志