これまで以上に義足をうまく制御できる
磁気ベースの新しい方法をMITが開発

▲©︎MIT Media Lab / Cameron Taylor / Vessel Studios

義足を使用している人にとって、人間の足と同じように動かそうと、義足をうまくコントロールすることはなかなか難しいのだそうだ。従来の義足は筋肉から発生する微弱な電流を活用する筋電制御のものが多かったが、この方法では義足のコントロールには限りがあるという。

そこで、米MITメディアラボの研究チームは、義足をより正確に制御できる新しいアプローチを開発した。これは、切断した箇所の筋肉組織に小さな磁気ビーズを挿入するもので、非侵襲的でありながら、収縮する筋肉の長さを正確に測ることができ、そのフィードバックを数ミリ秒以内という短時間でバイオニック(生体工学)義足に伝達できるようになる。

これまで筋電を測定するには、皮膚の表面に電極を取り付けるか、外科的に筋肉に電極を埋め込む方法がとられてきた。後者は身体や費用の面で負担がかかるが、ある程度の正確な測定が可能。ただし、いずれの場合も、足の長さや速さといったものはわからないとされる。

これに対し、MITの方法では、ペアになった磁石を筋肉に挿入することで、磁石どうしの動きが測定できるようになり、筋肉がどれだけ収縮しているか、その収縮の速さがどれだけかを計算することが可能となった。

さらに、義足をよりよく制御するために、測定した値をコンピューターモデルに入力。残った筋肉の収縮をベースにして、患者の幻肢が空間のどの位置にあるかを予測できるようすることで、患者が望むように義足を動かすように指示したり、ユーザーが思い描いている手足の位置のイメージと一致させたりすることが可能となるそうだ。

研究チームによれば、今後数年以内に実証実験を行う予定だそうで、義足を制御するセンサーについても、衣服や皮膚の表面、義足の外側など、さまざまな取り付け位置を検討したいとしている。End