姿を変える「水」の性質をモティーフに
ロニ・ホーンの作品がポーラ美術館で公開

▲《ウェル・アンド・トゥルーリー》2009-2010年 10点組、鋳放しの鋳造ガラス 個人蔵
展示風景:「ウェル・アンド・トゥルーリー」ブレゲンツ美術館(オーストリア) 2010年 Photo: Stefan Altenburger © Roni Horn

神奈川県足柄下郡箱根町にあるポーラ美術館は、アメリカの現代美術を代表する女性アーティスト、ロニ・ホーンの個展「ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」を2021年9月18日(土)から2022年3月30日(水)まで開催する。

テムズ川の水面やアイスランドの温泉、島の地図、水鏡を思わせるガラスなど、同氏の作品の多くは、自然と密接に結びつきながら、極めてシンプルに削ぎ落された形式で展開される。

▲《鳥葬 (Cairngorms, Scotland)》2014-2017年 鋳放しの鋳造ガラス
Courtesy the artist and Hauser & Wirth Photo: Ruth Clark © Roni Horn

▲《または 6》2013-2014年 粉状の顔料、黒鉛、黒炭、色鉛筆、ワニス/紙 グレンストーン美術館(ポトマック,アメリカ)
展示風景:「ロニ・ホーン」バイエラー財団(リーエン、スイス) 2016-2017年 Photo: Stefan Altenburger © Roni Horn

作品は、写真、彫刻、ドローイング、本など多岐にわたるが、ひとつの概念が多様な作品へと形を変えて現れるさまは、環境や周囲との関わりによって姿を変える「水」の性質を想起させるものである。また、同氏は、東洋思想においては人間の精神のあり方や無常を表す水や川も、作品のモティーフやテーマとしてしばしば用いている。

▲《あなたは天気 パート2》(部分) 2010-2011年 66点のカラー印刷、34点の白黒印刷
Courtesy of the artist and Hauser & Wirth © Roni Horn

日本国内の美術館におけるホーンの初個展となる同展では、近年の代表作であるガラスの彫刻作品をはじめ、1980年代から今日に至るまでの約40年間におよぶ実践の数々を紹介しながら、水のようにしなやかに多様な解釈を受け入れる彼女の作品のあり方を探る。

▲《エミリのブーケ》(部分)2006-2007年 6本組、固形アルミニウム、鋳造した白いプラスティック
Courtesy of the artist and Hauser & Wirth © Roni Horn

価値観や「正しさ」がめまぐるしく入れ替わるこの時代において、周囲に惑わされず、 川のように静かに絶えず本質を見つめながら制作を続けるロニ・ホーン。その作品と姿勢は、私たちに強く生きるヒントと、Reflection(内省)の時間を与えてくれるだろう。End

▲《あなたは天気 パート2》(部分) 2010-2011年 66点のカラー印刷、34点の白黒印刷
Courtesy of the artist and Hauser & Wirth © Roni Horn

個展「ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」

会期
2021年9月18日(土)~2022年3月30日(水)会期中無休
会場
ポーラ美術館展示室1,2 遊歩道
詳細
https://www.polamuseum.or.jp/sp/roni-horn/