災害時にも安全に使える
「フェイズフリー個別化フットウェア」

慶應義塾大学SFC研究所ソーシャル・ファブリケーション・ラボとno new folk studio(現:ORPHE)は、3Dスキャン技術と3Dプリント技術を用いた新たなセンサ内蔵フットウェアを共同開発した。

同シューズは、「平時」と災害のような「有事」という社会のフェーズ(時期や状態)を取り払い、普段利用している商品やサービスを災害時にも自然かつ適切に使えるようにする「フェイズフリー」のコンセプトに基づいたもの。

災害が起きたとき、靴に求められるのは、「しゃがんで紐を結ばなくてもすぐに履け、かつ長距離歩いても脱げないこと」や「がれきや危険な破片を踏む際にも、怪我無く安全に歩ける厚みがあること」といった要素である。

今回は、ユーザーの左右の足の型を独自に開発した3Dスキャン装置で読み取り、その形に合わせて3Dプリンタで一品生産する独自技術を活用。上にあるような要件を満たす、新たな靴のデザインと製法を開発したという。

さらに、災害時だけでなく、平時の散歩から日々楽しんで使用できるように、ユーザーの好みの色へのカスタマイズや、靴底曲面形状の個別指定を実現。接着剤や縫製を一切使用せず、完全に単一素材のみで制作しているので、使用後も廃棄せずに回収して材料を100%リサイクルすることが可能となり、プラスチック資源循環を実現するとしている。

また、no new folk studioは、日々の散歩の状態を「歩容データ」として観察することができる、センサモジュールを埋め込んだスマートシューズ「ORPHE(オルフェ)」シリーズを展開。今回の3Dプリントによる製法により、蓄積した歩容データを分析して、また次なる靴のデザインへと反映させる可能性も備えているそうだ。End