NEWS | 建築
2021.07.06 17:13
建築家の黒川紀章が設計した「中銀カプセルタワービル」の解体が予定されている。そのカプセルを取り外し、美術館などへ寄贈したり、宿泊施設などで再活用したりするプロジェクトが始まっている。
この計画は、建物をそのままの姿で保存するのではなく、「メタボリズムのコンセプトを引き継ぎ、次に繋げる」という設計思想の継承として行われるもの。カプセルの改修は黒川紀章建築都市設計事務所の協力により、理想的な姿へと再生するという。
竣工当時のモデルルームカプセルは現在、黒川が設計した埼玉県立近代美術館に展示されているが、今回は再生したカプセルの一部を希望する美術館や博物館に寄贈。取り外されたカプセルが再生され、展示によりメタボリズムの思想を伝えていくことがプロジェクトの目標である。
一方、プロジェクトでは、2018年から1か月間のお試し宿泊ができる「マンスリーカプセル」を運営。約2年半で延べ200人以上が利用したそうで、宿泊しなければわからないカプセルの魅力を伝えるために、「泊まれるカプセル」を全国で展開する予定だ。
また、事務局を運営する中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトは、建物記録のための書籍「中銀カプセルタワーの記録(仮)」を草思社から出版予定。2022年2月の発売を目指している。
そのほか、カプセル改修のためのクラウドファンディングもモーションギャラリーにて実施。集まった資金は、美術館などの公共施設に寄贈するカプセルの改修費に充てることにしている。