要塞だった島を舞台にアート作品を展示
「ヘルシンキ・ビエンナーレ 2021」開催

▲Alicja Kwade: Big Be-Hide, 2019 © Maija Toivanen/HAM/Helsinki Biennial 2021

フィンランド・ヘルシンキでは、「ヘルシンキ・ビエンナーレ 2021(Helsinki Biennial)」が2021年6月12日(土)から9月26日(日)まで開催される。このイベントは初開催で、かつて要塞だったというヴァッリサーリ島を舞台に現代アート作品を楽しむことができる。

今回は国内外から41組のアーティストが参加。ヴァッリサーリ島がもつ文化的な歴史や地政学的なロケーション、そして多様な自然環境を背景としたサイトスペシフィックなインスタレーションが展開されるという。

▲Dafna Maimon: Indigestibles, 2021 © Maija Toivanen/HAM/Helsinki Biennial 2021

▲Tuomas A. Laitinen: ΨZone, 2021 © Maija Toivanen/HAM/Helsinki Biennial 2021

キュレーションを担当するのはヘルシンキ市立美術館のPirkko SiitariとTaru Tappolaで、テーマを「The Same Sea」に決定。これは「相互依存」を表すものだそうで、人類と自然の関わり、時間と変化、国境とアイデンティティ、さらには共感といった話題のテーマについてアート作品を通じて探っていくそうだ。

サイトスペシフィックな作品としては、地下倉庫を消化器官に見立てたDafna Maimonの「Indigestibles」、火薬庫を異星人の住みかにしたTuomas A. Laitinenの「ΨZone」、さらには川俣正の「Vallisaari Lighthouse」を展示。

川俣の作品は以前のエレベーターシャフトを利用したもので、その上部には現地で回収した廃材を使って構造物を設置。近隣にある世界遺産のスオメンリンナやヘルシンキのウォーターフロントからも見える島のランドマークとなる。

▲Tadashi Kawamata, Vallisaari Lighthouse, 2021 © Maija Toivanen/ HAM/ Helsinki Biennial 2021

▲Jaakko Niemelä: Quay 6, 2021 © Maija Toivanen/HAM/Helsinki Biennial 2021

▲Katharina Grosse: Shutter Splinter, 2021. Commissioned by HAM/Helsinki Biennial 2021 © Katharina Grosse and VG Bild-Kunst Bonn, 2021. Courtesy of KÖNIG Gallery. Photo: Maija Toivanen/HAM/Helsinki Biennial 2021

そのほか、グリーンランド北部の氷床が消滅したときの海面上昇を6mと想定したJaakko Niemeläの「Quay 6」、島の石と人工のレプリカを並べて自然界の絶え間ない変化を表現したAlicja Kwadeの「Big Be-Hide」、古い校舎を使って文化の記憶と自然のプロセスを対話させるKatharina Grosseの「Shutter Splinter」などが披露される。End