NEWS | 建築
2021.06.04 15:30
伊ヴェネチアで開催中の第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展では、レバノン・ベイルート出身の建築家 リナ・ゴットメ(Lina Ghotmeh)によるインスタレーション「Lina Ghotmeh — Architecture」がArsenale della Biennale di Veneziaにて公開されている。
同展では、同氏がベイルートで手がけた最新プロジェクト「Stone Garden」を縮尺1/30・高さ2.3mの模型で紹介。そのねらいは、Stone Gardenを通じて、危機の時代において和解とレジリエンスの機能を担う建築の能力を示すことにあるという。
さらに、Stone Gardenから撮影した写真や、ベイルートで先ごろ発生した大きな爆発事故の後にドローン撮影された動画によるビデオ作品も上映している。
この建築は同市の工業港の近くにあり、2020年8月に同市の半分で被害が出たという爆発事故現場から約1kmほどのところに位置している。このように、インスタレーションは、戦争での荒廃や爆発事故などにたえず見舞われながらも生き抜いてきた都市に根ざしている。
そのほか、同建築の櫛で梳いたファサードの実験サンプル (粘土、セメント、顔料、金属)なども披露しており、その設計プロセスを知ることもできる。
Stone Gardenは、都市空間がもつ制約や記憶、自然、生活、密度といったテーマに取り組みながら、新しい生活様式を提案するものだ。
自然で覆われてしまったベイルートの廃墟さながらに、大きな開口部に緑豊かな庭園があり、住まいと街のなかでも自然を感じることができるこの建築は、ねばり強くオプティミストな生活を体現している。