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2021.05.13 15:00
私たちにとってはなにげないことでも、目の不自由な人にとってはとても難しい動作がある。そのひとつが公共の場で列を作って並ぶことだそうだ。
まず列の最後尾に並ぶこと自体が難しいし、前に並んだ人に続いて徐々に進んでいくこともなかなかできないだろう。前の人がいつ・どこに向かって・どれだけ移動したか認識しづらく、列が「コの字型」に曲がっていれば正しい位置がどこかもわかりにくくなってしまうのだ。
そこで、早稲田大学理工学術院総合研究所と日本IBMの研究グループは、一般的なスマートフォンを使った目の不自由な人が列に並ぶためのナビゲーションシステム「LineChaser」を開発した。
このシステムでは、スマートフォンをかざすことで近くにいる人たちが列を作っているかどうかを判断し、ユーザーをその最後尾に誘導。直前にいる人を追跡しながら音声と振動による信号で移動と停止のタイミングを知らせ、ユーザーを正しい場所へと導いていくのだ。
LineChaserでは、スマートフォンのRGBDカメラを使用して付近の歩行者を検知し、内蔵された赤外線深度センサでその位置を推測するという。また、この仕組みにより、ユーザーは列のなかにいても、安全にソーシャルディスタンスを確保することができるそうだ。
同グループの実験では、12名の視覚障碍者を対象にユーザビリティを調査。列の最後尾の発見や列の追従ができたそうで、普段よりも不安を感じることなく列に並ぶことができたとしている。